スズキが独フォルクスワーゲンへ提携解消申し入れ--鈴木修会長の会見内容を全文掲載
--VW側は9月11日の報道発表で、「フィアットの件はスズキの契約違反だ」と言っている。提携解消で賠償を請求されるなどのリスクはないのか。
鈴木会長 あまり事実関係ばかりを言うと品が下がるが、フィアットから1.6リットルのディーゼルエンジンを調達することが包括提携の契約違反だとするVW側には事実誤認がある。
今年1月28日、VW社のヴィンターコルン社長が浜松のスズキ本社に来たとき、この件が問題になった。技術的な問題として、現在採用しているVWの1.5リットルのディーゼルエンジンには、エンジンのどちらから排気を取り出すかという前方排気と後方排気の問題や、エンジンルームのレイアウトなど、技術上の問題があった。こうした技術的な問題があったことで、ヴィンターコルンに「1.6リットルのディーゼルエンジンを他社から調達する」と言った。彼は「それなら文章にして連絡してほしい」と言った。
そこで、私は1月30日に文書で「スズキはVWから1.5リットルエンジンの調達をやめる。われわれは年間289万台のうち、約1割に当たる28万台をOEM供給で販売している。VWの技術を受け入れることで、OEM供給ができなくなり、大きな影響が出る。VWのコンポーネントを受けることでて、ビジネスが制約されると困る。だからやめる」といったことをはっきり文章にして連絡した。
その後、3月11日、25日、7月14日とVW側といろいろなやりとりをした中で、この件に関して言及がなかったので、私はすでにこの問題は解決済み、と理解していた。それから突然、9月11日にフィアットの問題を契約違反だ、ということは非常に心外だ。
ここ1カ月、議論は平行線をたどっていた。7月28日にハーンが来て話をして、その翌日の決算会見で見直しの発言をした。こういった話は全部連動していると見ている。8月いっぱいに見直しをするという議論をしていた。しかし、まさか今日、フィアットのエンジンや株など2つの問題を持ち出すなど、驚きを感じている。