日本に「暇があって、小銭がある人」が減った結果 1980年代まで日本が世界的に目立っていた理由

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今の日本は公共財がどんどん貧しくなっています。「民営化」という名の下に公共財を安く売り払って、権力者とその取り巻きたちの私財に付け替えている。それがすさまじい勢いで進行しています。公共財を自分の私財にした人たちが「成功者」と呼ばれ、現代日本社会の超富裕層を形成しています。

イノベーションが生まれない国の特徴

――一方で、日本では貧しい人たちは公共財にアクセスできなくなっている。

公共財が乏しくなると、貧しい市民たちはどれほど劣悪な雇用条件でも受け入れざるを得なくなる。企業はそうやって人件費削減を行っている。

国力というものをどういう指標で計るのか、いろいろ考え方はあると思いますが、僕は「集団としてのパフォーマンスの高さ」で計るべきだと思っています。平時だけではなく、危機的状況に遭遇すると、それに対応して適切に変容して生き延びることができる能力を僕は「集団の力」としては重く見ます。

集団の一部に天文学的な私財を積み上げている人がいたとしても、大多数が貧しく、ろくな教育も受けられず、医療的ケアも足りないし、文化資本も持っていないというような国は「国力が低い」と僕は評価します。

そういう国は危機耐性が低いだけではなく、「イノベーション」も起きないからです。イノベーションというのは、学術的なものでも、芸術的なものでも、集団の全員にチャンスがあるところでしか起きません。

――今の日本には「余裕がある人」が減っているということですか。

マーケティングの用語に「アーリーアダプター」という言葉があります。イノベーターが前代未聞の斬新なアイディアを提示したときに、真っ先にそれに反応して、イノベーターを支援し、その意義を他の人たちに伝え、説明する人たちのことです。

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