ノルマ達成や顧客都合など、旧態依然とした働き方を強いられることが多い営業の世界では、家事や育児を一身に背負わされがちな女性は、仕事を継続するのが難しい面がありました。しかし、土田さんはそういった女性自身の考え方に「ノー」を唱えます。
「今は女性も一生働き続ける時代になりました。お客様との信頼関係を築き、お客様から必要とされている以上、私たちもずっと働いていくこと自体がモチベーションになるのです。だから、両立できないと嘆くのではなく、両立することを前提に、パートナーやご両親と家事や育児を分担することに力を注ぐことが重要です」(土田さん)
そういった女性営業のロールモデルはまだまだ少ないですが、土田さんは”顧客の中”に、それを見つけたといいます。
あえて弱さを見せ、ホンネを分かち合う
「先輩ママのお客様にある日、仕事と家庭を両立できないジレンマを相談したら、『大丈夫! 母親が真剣に働いていたら子どもは脇道に逸れることはないから」と励ましてくださって。いい具合に肩の力を抜くことができました」(土田さん)
いくら才能や志があって高い成果を上げていても、大きなストレスを抱えてしまうなら仕事を継続することは不可能です。「営業は強くなければいけない」と考える人は、いまだ多いはず。でも、あえて周囲に弱さを見せ、ホンネを分かち合うことで絆を育めるのは、競争社会が前提の男性営業にはない、女性営業の強みなのかもしれません。
「女性には車なんて売れない!」「営業は強くなくてはいけない!」といった固定観念を、しなやかに打ち破ってくれた土田さんのエピソード。そして彼女を時に厳しく、真摯に支える男性リーダーの存在。上司部下かくあるべしといった姿に、思わず胸を熱くせずにいられませんでした。
いきなり「営業の神様」と呼ばれるようなスター選手を目指さなくとも、コツコツと顧客の信頼を獲得し、着実な成果を上げる。そんな「普通の女性」にもチャンスを提供し、共に成長しながら結果を導き出すという取り組みの先にこそ、女性が輝ける社会がきっとあるに違いありません。
(構成:井口啓子)
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