土田さんはまず、相手に寄り添い、地道な接触を続けることで顧客の心を開き、確かな信頼を獲得していったと言います。
「お客様から任せたい、頼りたいと思っていただき、かつ、その関係を継続させるためには、やはり『絆を育むこと』が大切。車は売って終わりではなく、そこからがスタートだと考えていますし、実際当店には親子3代、30年にわたってお世話をさせていただいているお客様もいらっしゃいます」(土田さん)
営業部長の福田敏彦さんは、自動車購入決定権の約8割を女性が握っていると言われる中、女性顧客の心をつかむ女性営業の重要性が今後ますます高まっていくであろうこと、さらに自動車営業が「売って終わり」ではなくなりつつある今、女性営業ならではの柔軟で細やかな対応が継続顧客獲得への大きな可能性を秘めていることを指摘します。
まずは上司が「女性にはムリ」のマインドを捨てよ
「ホンダでは現在、スモールカーの販売が新車販売数の6~7割を占めており、今後女性顧客の獲得が業績アップのキーとなることは間違いありません。そんな状況下、今まで女性営業がほとんどいなかったのは不自然なこと。女性のお客様にはさまざまな我慢をいただいていたと思います。
またクルマを購入した後、お客様との絆をコツコツ作り上げていく地道な活動は、男性営業より女性営業の方が向いていると思います。市場環境が変化する中で、その関係作りが後々大きな成果に繋がっていくはずです」(福田さん)
現在、Honda Cars茨城南では、女性営業第一号の土田さんを含め、全6名の女性営業が活躍しています。顧客からも「とにかく笑顔がよい」「クルマについて無知でも気後れしない」「子どもに優しいから子連れでも安心」「同じ女性として頑張れ!と応援したくなる」(顧客満足度アンケートより)など、女性営業を支持する声が後を絶ちません。
ですが、女性営業をとりまく環境は決して甘いものではありません。離職率も低くはない、自動車ディーラーの営業という世界。ではそこで女性が活躍するために、具体的にどのようなことが必要なのでしょう?
「セールスの世界では、やはり数字のプレッシャーやクレームは避けられません。そのため、自分には無理と考える女性も少なくありませんが、『お客様に喜んでいただくために』というポジティブなマインドを持っていれば、女性も必ず続けられるはずです。
女性がポジティブなマインドを持ち続けるためには、やはり会社側や男性管理職側が『この業界は厳しいから男性しか続けられない』という固定観念を払拭すること。そして彼女らが働き続けられるよう、サポートしていく体制が必要です。女性営業が少ない会社の場合、孤独感を抱くこともあるでしょうから、社外の集まりに参加できるよう積極的に支援することも大切だと思います」(福田さん)
仕事が厳しいことは当たり前。ただ、営業の世界は成果が数字で見えやすいため、逆に成果さえ出せば、経営者も男性管理職も女性営業の活躍を推進せざるを得ないはずです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら