福島の病院を苦しめる原発事故補償の難航と人材流出、手掛かりすらない再建への道

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 同病院では東日本大震災が発生した3月11日当時、医師4人、看護師28人、准看護師48人を含めて、159人の職員がいた。しかし、事故後に39人が退職。89人が今も休職中だ。

東電からの補償を一日も早くと待ち望んできたが、「東電と私たち医療関係者との話し合いの場で示された内容にあいまいな点が多いことから、本補償の合意に逡巡している」(雲雀ヶ丘病院および郡山市内の針生ヶ丘病院を運営する財団法人金森和心会の金森圭子常務理事)。

放射能への不安から離職者が相次ぐ

東電が8月30日の会合で示した病院用の請求用紙の雛型では、逸失利益を計算するうえでの計算項目の中に、退職金や法定福利費、減価償却費、利払い費などの項目が見当たらなかった。

東電側の説明がはっきりしていない一方、参考として示された個人向けの「合意書(見本)」には「上記金額の受領以降は一切の異議・追加の請求を申し立てることはありません」との不信感を抱かせる記述があった。

雲雀ヶ丘病院にとって、退職金支払いや運転資金の確保、借入金の金利支払い再開のためにも、補償の受け取りは急務。ただ、「その際、原発事故によって失われた収入を継続的にカバーしてもらいたい。穴だらけの本補償では十分とは言えない」と、金森氏は訴える。

原発事故による病院経営への影響は、避難指示の対象となった病院のみならず、県内の広範囲に及んでいる。「最も深刻なのが人材の流出だ」と、前原和平・福島県病院協会会長(白河厚生総合病院院長)は指摘する。

同協会が7月に県内の127病院を対象に行ったアンケート調査(回答率43%)によれば、原発事故の影響が大きい「浜通り」および放射線量が比較的高い県北部、県中部合計で、医師の自主退職者(離職希望者を含む)は135人、全体の11・6%に、看護師でも自主退職者は464人(同7・4%)に達した。

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