広がる「都市型ワンマン列車」に死角はないのか 長い編成の安全確認や運賃収受、どう対応?
計画では、2025年度内に関西本線の名古屋―亀山間と武豊線で導入し、2026年度以降に東海道本線の浜松―豊橋間や大垣―米原間、三島―沼津間と御殿場線でも実施する。普通列車でもそれなりの輸送力が必要な東海道本線でもワンマン運転を導入することになるのだ。
車側カメラという安全策が確立されてきたことで、ある程度編成両数の長い地方都市圏での都市型ワンマン運転導入は今後も増えると考えられるだろう。
安全確認とともに、都市型ワンマン運転に欠かせないのは駅での運賃収受だ。車内に運賃箱を置いているワンマン列車と違い、都市型の場合は無人駅でも駅側に改札機などが必要になってくる。
ここで都市型ワンマン運転導入の助けになっているのが交通系ICカードだ。無人駅でも入出場時にタッチする端末を設置することで運賃収受が可能だ。
運賃収受には課題が残る
だが、実は交通系ICカードの利用できない区間で都市型ワンマン運転を実施している例もある。
JR九州の大村線は全線で3~4両のワンマン運転を行っている。同線は諫早―竹松間で交通系ICカードが使用できるが、それ以外の駅では利用できない。ICカード非対応の駅には切符や運賃を入れる箱があるだけである。慣れない利用者は不安なものを感じるだろう。
JR東日本でも、意外なところに設備不足といえる都市型ワンマンの区間がある。車外カメラ付きのE531系5両編成が走る東北本線の黒磯―新白河間だ。この区間は交通系ICカード(Suica)が導入されていない。券売機がなく乗車駅証明書発行機だけの駅もある。
また、常磐線のいわき―原ノ町間も、浪江―小高間にある桃内駅だけ交通系ICカードが利用できない。同駅は無人駅である。
これから人口減少が進む中、省力化・省人化は合理化のために必要な施策である。その中で、すでにワンマン化されているローカル線よりも輸送量が多い一方、都心部の路線ほど多くはないという区間で都市型ワンマン運転は今後も増えていくだろう。安全の確保はもちろん、運賃収受についても確実さが求められる。
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