企画が浮かばない元凶「思い込み」を排除する技術 「前提ありき」会話がもたらす思わぬ弊害とは

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検索を始める前の彼女は、オランダの日常生活をこんな風にとらえていました。

・オランダは節約家が多く、どちらかといえば食事にこだわりはない
・オランダでは質素な食事が好まれている
・オランダでは、夫が料理を作ることが多いため、「時短レシピ」が人気

しかし、ネットの世界を見て回った結果、Xのポスト内容やInstagramの写真、YouTubeの動画から浮かび上がってきたオランダの人々の生活は、彼女の想像とは少し違っていました。

ピッタリした「答え」を探すのではなく、人々の生活をたくさん見続けて、自分と会話し続ける。そのことで「思い込み」が消え去り、次に何をするべきかの課題が見えてくるのです。

その中で、彼女には次のような課題が見えてきました。

① 過去10年間で、オランダで海外のべ物が取り入れられ、人気になった事例は?
② 最も古典的なオランダ料理、伝統的なオランダ料理は?
③ そもそも、オランダでは人々はどのように暮らし、買い物をしているのか?

この3つはいずれも、オランダに明太子を輸出する上でのヒントになりそうです。いずれも、よくある「問い」に見えるかもしれませんが、大切なのはこの「問い」にたどりついたプロセスです。必死に調べ、考え抜いた上で出てきた疑問なのです。

そして、Iさんはこう言いました。

「オランダの伝統料理を出してくれるレストランを見つけました。店主もオランダの方のようです。一度伺って、お話を聞いてみたいと思います」

Iさんに、見事な「WHAT」のアイデアが生まれた瞬間です。私たちはさっそく、レストランに予約をとり、オランダ人の店主を訪ねることにしました。

自分の仮説を確認してはいけない

仕事をする上で疑問が生まれ、誰かに話を聞くということ自体は、すでに経験がある方も多いかもしれません。このとき大切なのは、「自分の仮説を検証するために、人に会うわけではない」と肝に銘じることです。

あなたが「仮説が正しいかどうか」を確認するための質問をすればするほど、アイデアからは遠ざかっていきます。今は、仮説を確かめたいという欲求をいったん脇によけて、もっと多くの話を聞くべき段階です。

繰り返しになりますが、あなたが今持っている仮説も、思い込みかもしれません。つまり、凝り固まった自分の意見にどんどん支配されていくリスクもはらんでいるのです。

これを専門用語で「バイアス」と呼びます。

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