日本でしか働けないと、面白い仕事はできなくなる 田中良和・グリー社長
携帯電話向けソーシャルゲーム(交流ゲーム)で急成長を続けるグリー。ソーシャルゲームとは、ネットワークゲームの一種で、基本プレーは無料だが、ゲームを有利に進めるためのアイテムを有料で販売するビジネス。市場は急拡大しており、現在、グリーと、ディー・エヌ・エーの運営するモバゲーが熾烈な競争を繰り広げている。
2004年に設立されたばかりのグリーは、わずか6年余りで、売上高641億円、営業利益311億円(11年6月期)という高収益企業になった。そのグリーは今、さらなる高成長を求めてグローバル化を急激に推し進めている。日本人がグローバルで戦うために必要なことは何か。田中良和社長に聞いた。
--最近の海外進出のスピードにはすさまじいものがあります。国内で稼げているのになぜ、そこまで海外展開を急ぐのですか。
グローバル事業をやる前に皆で話したのは、「やっぱり面白い仕事をしたいよね」ということ。しかし、日本が面白くなくなってきている中で、日本でしか仕事ができないと、面白くない仕事しかできないことになってしまう。
僕は今34歳ですが、60歳まで働くとしてあと25年もある。あと5年程度は、日本だけでもそこそこ面白いかもしれないけれど、10年後、20年後はどうかわからない。グローバルなビジネスをしないと、ビジネスマンとしてつまらないなという危機感がまずある。
34歳という年齢は世界基準では若くない
最近、中国やインドネシアなど海外によく行きますが、現地の人たちからは「豊かになりたい」というすなおな気持ちを強く感じる。
一方、今の日本には、ややもすると「おカネ儲け=悪」という印象があるし、「自分の好きな仕事しかしたくない」とか「自己実現のために仕事をする」とかいう発想がある。日本のそうした考えが悪いとは言わないが、純粋に豊かさを目指す新興国の人々の頑張りはすごい。