日本でしか働けないと、面白い仕事はできなくなる 田中良和・グリー社長
まず世界に求められるのは何かを考え、次にその市場でバリューを発揮できる日本の価値は何かを考えるべきなのに、日本はその順序が逆転している。日本が強い分野でも、マーケットが小さければビジネスは成り立たない。
世の中を動かすのは掛け声ではなく実例
その点、今のソーシャルゲームはとてつもなく大きなマーケットで、日本の製品は高いレベルにあり、世界で求められていると思っている。海外のソーシャルゲームを分析すると、ゲーム性やグラフィックスの品質、機能や課金する仕掛けなど、日本のソーシャルゲームのほうが優れている点が多い。これらの優位性は言語や文化に依存するものではないから、十分、世界の人にアピールできる。
フェイスブックやツイッターを見ていると、国を意識しないグローバルビジネスもあるんだなと思う。双方ともフィリピンやベトナムの違いを意識しながら、細かくローカライズしてきたわけではないのに、1~2年で数億人まで会員を増やしている。それを見ていると、製造拠点を作って、人脈を作って、カスタマイズしてと言っている時点でナンセンスだなと思う。細かくローカライズしなくても済むような製品力をつけることが、本当のグローバル化なんだと感じる。
--グリーの米国法人では、グーグルやフェイスブック出身のエンジニアも採用しているそうですが、人材採用は順調ですか。
世界中の会社から応募が来る。ソーシャルゲーム、モバイルはネット業界で最も熱い分野。そこで結果を出している会社は少ないので、世界的にも注目を浴びている。
最近は、日本の別の会社から優秀な人が集まってきている。日本は米・中に比べ国力が低い以上、日本の中でドリームチームを作らないと、世界では戦えない。世界で成功できる企業は、各業界でトップいくつかに絞られてくるはず。少ない企業に優秀な人材が集合しつつあるのはよいことだと思う。