「飛行中ドア落下」ボーイングに当局が激怒した訳 記者への調査情報の共有は明らかな規則違反

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委員会はまた、ボーイングの調査情報へのアクセス権限を剥奪し、ボーイング側証人の召喚が予定されている8月の公聴会では同社がほかの出席者に質問することを認めないと述べた。委員会は、ボーイングから記者会見の記録を入手して、同社の違反行為を確認したと述べた。ボーイングに対する委員会の非難については、航空業界の専門誌『エア・カレント』がいち早く報じていた。

「領空侵犯」で平謝りのボーイング

 ボーイングは声明で、不適切な発言について謝罪した。

「先の発言は、今回の事故に対する当社の責任を明らかにし、当社が取っている対応を説明することを意図したものであったが、発言の一部が調査情報提供元としてのNTSBの役割を侵害するものであったことを深く反省している。NTSBに謝罪し、調査継続中、いかなる質問にも進んで答える所存である」とボーイングは述べた。

ボーイングのCEO、デイブ・カルフーン宛てに送った書簡でNTSBのある当局者は、NTSBは3月の時点ですでに規則を遵守するようボーイングに警告を発していたと指摘。

この当局者は、ボーイングのチーフエンジニア、ハワード・マッケンジーが6月の上院公聴会で行った、サウスウエスト航空が運航していた737MAXの空中での異常な揺れは機体の設計や製造とは関係ないようだ、という発言は行き過ぎだったとも述べている。委員会はこのインシデント(問題事案)についても調査を進めている段階だ。

NTSBの航空局局長ティモシー・J・ルバロンは「まさにボーイングのブリーフィングで起こったように、不正確で誤解を招く、前後の状況から切り離された未確認の調査情報がメディア、一般市民、議員に知らされるのを防ぐには、調査について語るのは1カ所のみ、すなわちNTSBのみ、とすることが極めて重要だ」と述べた。

ボーイングの737MAXが関わる2件の墜落事故で人命が失われてから5年以上がたつが、1月にアラスカ航空が運航する機体で起きた事故は、重傷者こそ出なかったものの、ボーイング機の品質に関する新たな懸念を引き起こした。これを受けてボーイングは、訓練の拡充、計画や手順の単純化、サプライヤーが納入する部品段階からの不良率削減など、品質と安全性の向上を目的とした変更を打ち出した。

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