食品企業の放射能対策、主要35社アンケート--多くの企業が政府まかせ、後ろ向きの情報公開

一方で、水面下では多くの企業が対策に右往左往しているという。大手広告代理店で食品メーカーのブランディングを担当する女性は、対外的には「対策を取っていない」と言いながらも、実は政府より低い基準値を設けるなど、独自策を設けた企業もあると打ち明ける。

隠すのは、「独自策を取ることで、安全をうたう政府に『お上に盾突いている』と思われてしまうから、競合と足並みをそろえたいという思いもある」と言う。

多くの企業が及び腰の中、頭一つ抜けているのはネスレ日本ダノンジャパンの外資組だ。

世界最大手のネスレ(スイス)は、1986年のチェルノブイリ原発事故以降、世界中に10台のゲルマニウム半導体検出器を配備。今回の震災でも、3月17日に厚生労働省が食品の暫定基準値を設定する前から測定器導入を準備した。

日本国内では、4月1日から全工場で製品や水の測定を開始。ネスレ日本では輸入原料が多く汚染の可能性は低い。それでも実施に踏み切った背景を「ゼロだというデータを実際に数値として出して初めて消費者は安心するため」と高橋雅樹・執行役員兼品質本部長は説明する。また、「ゲルマニウム半導体検出器は1500万円程度。他の検査器からすれば安いもの」と付け加える。

ダノンジャパンは、安全策を整備するまで工場をストップさせた。ヨーグルトを生産する館林工場(群馬県)は震災から4日後の3月15日に完全復旧したが、操業再開は測定器を設置し終えた22日。多くの企業が復旧後直ちに生産を再開していた中、「安全を最優先に考えるべき」(大羽哲郎・品質保証部長)と考えたためだ。現在も、ヨーグルトの全ロットを検査している。

とはいえ、外資でも検査結果の数値は非公表だ。詳細を公表することで「寝た子を起こす」と懸念しているため。アンケートでも自主検査自体はしているとしながら「詳細は社外秘」(キリンホールディングス)などあいまいな答えも目立った。

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