ホンダ、日本初の自動運転タクシーに漂う暗雲 米パートナーの事故処分で国内合弁設立に遅れ

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自動運転サービスはまだまだ発展途上だ。

今年2月にはアリゾナ州でグーグル傘下ウェイモの自動運転車が自転車との衝突事故を起こし、ウェイモの事故については同州当局が調査している。日本国内でも2023年10月、福井県永平寺町で自動運転「レベル4」の実証車両が、道路脇に止められていた自転車に接触する事故があり、開発を進める産業技術総合研究所などが約半年間運行を停止した。

自動運転技術は確実に進化しているものの、複雑な現実の交通環境に対応しきれていない。規制も含めて課題は多い中、実用化に向けた模索が続く。

2035年には市場規模70兆円の予測も

一方で、過疎地域での代替交通手段、タクシー業界の人手不足対応など、自動運転タクシーの社会的意義は大きい。移動時間の有効活用といった新たなビジネスが生まれる可能性もある。

完全自動運転が実現すれば、移動時間を有効活用する新しいビジネスチャンスも生まれそうだ(写真:ホンダ)

PwCコンサルティングは、現状世界でもほぼゼロに近い完全自動運転タクシーが生み出す収益が、2035年には約70兆円まで拡大すると予測する。アメリカのEV(電気自動車)専業メーカー・テスラも8月8日に自動運転タクシーを公開するとしている。日本勢では、日産自動車も2027年度以降に、本社がある横浜市などを中心に事業化を目指している。

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もともと2026年に東京都心で自動運転タクシーを走らせるというホンダの計画は、高い目標を掲げることで事業化を推進する側面もある。多少の遅れは驚くことではない。ホンダとサービスで手を組むタクシー会社の幹部は「改めて仕切り直しということでは」と話す。

とはいえ、自動運転サービスはアメリカ勢だけでなく、中国の新興メーカーなども開発でしのぎを削る。計画に遅れを取れば、他社の後塵を拝する可能性が高まる。ホンダは開発の加速と安全性の担保の間で難しい局面に立たされている。

横山 隼也 東洋経済 記者

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よこやま じゅんや / Junya Yokoyama

報道部で、トヨタ自動車やホンダなど自動車業界を担当。地方紙などを経て、2020年9月に東洋経済新報社入社。好きなものは、サッカー、サウナ、ビール(大手もクラフトも)。1991年生まれ。

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村松 魁理 東洋経済 記者

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むらまつ かいり / Kairi Muramatsu

自動車業界、工作機械・ロボット業界を担当。大学では金融工学を学ぶ。趣味は読書とランニング。パンクロックとバスケットボールが好き。東京都出身。

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