自動運転技術の開発を手がける中国のスタートアップ企業、小馬智行(ポニー・エーアイ)は8月4日、トヨタ自動車と合弁会社を設立し、「ロボタクシー」と呼ばれる自動運転タクシーを量産する計画を発表した。
合弁会社には小馬智行とトヨタの中国での100%子会社であるトヨタ自動車中国投資、トヨタと中国の国有自動車大手、広州汽車集団との合弁である広汽トヨタの3社が出資する。2023年末までの設立を目指しており、総投資額は10億元(約198億円)を超える。3社は共同で自動運転関連サービスを顧客に提供するとしているが、具体的なサービス開始時期は公表していない。
計画では、広汽トヨタは自動運転タクシーとして用いるEV(電気自動車)の製造を担当。トヨタ中国は完全無人化自動運転システムを実現するための「冗長化システム」(安全確保に必要なバックアップ用システム)を供給、小馬智行は自動運転システムの供給と自動運転タクシーの運行プラットフォームの運営を担当する。量産する車両は自動運転レベル4(訳注、5段階のうち、いかなる状況でも無人の自動運転が可能な最高のレベル5に次ぐ、一定条件下で自動運転が可能な水準)を想定している。
現時点で運行している自動運転タクシーは、自動運転技術の開発企業が市販の量産車をメーカーから購入し、自動運転システムを後から搭載した、いわば特注品だ。
このため、コストが高すぎて商業用として大量使用する場合は採算が取れない。最初から自動運転システムを搭載した専用車両を自動車工場内で量産しコストを大幅に圧縮することが、自動運転タクシーを普及させるうえでの前提条件だ。
ネット配車大手の滴滴も量産計画
現在、複数の自動運転企業と自動車メーカーが自動運転タクシーの量産準備を進めている。2023年5月、広州汽車集団傘下でEV専業の広汽埃安新能源汽車(広汽アイオン)が、中国のネット配車サービス最大手の滴滴出行(ディディ)と資本提携に合意。
両社は合弁会社を設立し、自動運転タクシー用の量産モデルを開発する。量産モデルは2025年に滴滴のオンライン配車網に投入する方針だ。
トヨタと小馬智行は以前から提携関係にあり、2019年以降、両社は中国でレベル4の自動運転車の共同開発を手がけている。
現在、レクサスブランドの高級SUV「RX450h」とトヨタのミニバン「シエナ」を改装した自動運転タクシー約200台が北京市、広東省広州市、広東省深圳市、上海市でデモンストレーション運行あるいは公開路上試験用として投入されている。2020年には、小馬智行はトヨタから4億ドル(約569億円)に上る資金提供を受けている。
(財新記者:余聡)
※原文の配信は8月5日
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