VWが「初代ゴルフGTI」を今も大切にし続ける訳 ゴルフ50周年イベントで滲ませたストーリー
現在は、衝突要件や燃費効率、操縦安定性のための空力要件などにより、同じデザイン、あるいは同じディメンションのモデルを作るのは難しいから、オリジナル・ゴルフばかり褒めては、現代のデザイナーがかわいそうだ。しかし、オリジナル・ゴルフを見て、“やっぱりいいな”と思った。
今回、私が乗ったGTIは、1983年の後期型。ブラックの外板色で、GTIの特徴であるグリルの赤いラインがよく目立っていた。最初に出たときのボディカラーは「マーズレッド」と「ダイヤモンドシルバーメタリック」の2色だったが、私にとって印象深いGTIは、このブラックだ。
GTIは、車高が標準モデルより20mm落とされていて、タイヤサイズは175/70R13。当然、フォルクスワーゲン・クラシックが管理しているGTIも、オリジナルサイズのタイヤを履いていたが、私の頭の中にあったタイヤサイズより太かった。
エンジンは、前期型が1.6リッターで、後期型は1.8リッターになっている。今回のモデルは、もちろん後者。運転席に収まると、車内にはどこか高級感を感じた。
今もって気持ちのいい、その走り
走りを一言でいうと「48年前に発表されたクルマとは思えない」というもの。たしかに、先述したとおり、900kgに満たない軽い車重に対して82kW(112ps)の最高出力は十分なのだ。
今のドイツの市街地で流れに乗って走らせても、十分に速い。アウトバーンの追い越し車線にどのぐらい長くいられるかはわからないけれど、古いクルマを操縦している印象はほぼ皆無だった。
ハンドルを操舵するには、力が必要だけれど(それでも肩を入れて回すほどのことはなかった)、切りはじめのタイミングさえ覚えてしまえば、気持ちよく連続するコーナーを回っていける。
シートは、サイドサポートが少し張りだしたスポーティな形状だけれど、ドライビングポジションは標準モデルと変わらない。ダッシュボードは低く、運転席から遠くまで見通せるのも、高めの速度で走るときの助けになる。
クラッチは比較的軽く、下でつながるようになっているので、床まで踏み切る必要がある。これはややかったるいが、しかたない。
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