VWが「初代ゴルフGTI」を今も大切にし続ける訳 ゴルフ50周年イベントで滲ませたストーリー
フォルクスワーゲン「ゴルフ」が、2024年に50周年を迎えた。
「3700万台以上を70以上の国で販売したもっとも成功したクルマ」と、同社のトマス・シェファーCEOが言うだけあって、日本でも“自分とゴルフの思い出”を持っている人が多いのではないだろうか。
私は2024年6月下旬、ゴルフの50周年を記念したイベントに参加した。場所は、ドイツのオスナブリュックという、ドルトムントとブレーメンの中間にある街。
この街にあるフォルクスワーゲン・オスナブリュック工場は、かつてはカルマンという(日本ではカルマンギアで知られる)メーカーのもので、2009年にカルマンが倒産したため買い取ったものだ。
フレキシブルなラインが特徴で、現在は「T-ROCカブリオレ」に加えて、ポルシェ、ベントレー、シュコダの製品を生産している。
それはともかく、カルマンが持っているたいへん魅力的なミュージアム(貴重なプロトタイプがどっさり可動状態で保存されている)の一部を使って、フォルクスワーゲンは初代から8代目にいたる歴代ゴルフの、それもスポーツモデルばかりを34台、自社のミュージアムから持ち込んだのだった。
思い出す、初代ゴルフGTIの衝撃
「スポーツモデルばかりピックアップしたのは、ゴルフの歴史をたどるのに、いい証左だと思ったからです」
ヘッド・オブ・フォルクスワーゲンクラシックのミシャエル・ウインクラー氏は、現場でそう説明してくれた。
たしかに、ゴルフと聞いていまだにすぐ思い出すのが、1975年にドイツで発表されたゴルフGTI。
当時はゴルフサイズのクルマに珍しかった燃料噴射装置をそなえた1.6リッターエンジン(アウディ80GTEのもの)を、全長3725mm、車重810kgの小さく軽い車体に搭載したモデルだった。
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