新しい勝ちパターンはアナロジーで生まれる--『アナロジー思考』を書いた細谷功氏(クニエ マネージングディレクター)に聞く

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──この本は、かばんと予算管理の例えから始まります。

会社の仕組み作りのお手伝いをしていると、会社の仕組みも「振り子」になっているところがある。社内のコミュニケーションが足りないといっては会議を増やし、またある時期には非効率だといって会議を減らす。永久振り子のように振れる。どっちがいいというわけではない。時期や状況による。

個人の持ち物のかばんも、大きなくくりで物が入るのがいいか、小分けがいいか。時期や状況による。それは、会社の仕組みの一つとしての予算管理とも似ている。この両者から、その共通点、短所長所を追究していくと、かばんという身近な物からのアナロジー思考によって、まったく関係のないと思われる予算管理に初心者も素直に入っていける。

──アナロジーで大事なのは抽象化思考力ともあります。

アナロジーは基本的にはまね。このまねの仕方は二つある。表面的なまね、つまり形態模写のような、五官で感じられるまねと、五官で感じられないまね、つまりアナロジーだ。五官で感じられないものとは思考のことであり、思考の中でも特に抽象化、つまり関係づけや構造化するまねがアナロジーといえる。だから、前さばきの段階が必要で、そこに抽象化が入る。そのプロセスがアナロジー思考のポイントだ。

謎かけという隠れた共通点を探すゲームがある。ただ、謎かけは言葉だけの同音異義語探しのパターンが多い。それをひとひねりするのがアナロジーだ。それも構造が同じという共通点を探して、普通はまったく違うと思われているものを持ってくる。この結果に対しては誰もが知的な刺激を受け、言われてみるとそのとおりだと納得感もそれなりに高いものが多い。

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