また中庭の植栽も風景に影響を与えている。薄暗いなかでも植物が茂り、コンクリートの隙間から元気に顔を出す。空中廊下から垂れ下がり、風で揺れる。植物は自然に生えてきたような存在感があり、建物が生きているように感じられる。
間取りも、見える景色も異なる天神町place。
単身から2人同居、家族までさまざまな暮らし方ができ、住居以外に、半仕事場や事務所としての活用もあるという。
昼と夜の景色はがらりと異なる
建物の中にいると、空中廊下を歩く足音が不意に聞こえ、中庭で過ごす人の姿がふと目に入り、なんとなく人の存在を感じる。しかし中庭の共用のスペースでは「住人同士で交流しましょう」などと建物から強制されることはなく、なんとも心地がいい。
「下の階も中腹の階も、頂上の8階にもそれぞれ魅力があります。私は場所ごとの魅力を引き出して設計するのが仕事です。思い思いに家を楽しみ、暮らしてもらうのが理想です」
自分なりの心地よさを追求して自由に暮らせる場所。少しずつ入居が始まるなかで中庭が一望できる小さなバルコニーにベンチを出して、小さな音で音楽を流しながら過ごす住人の姿も見られたという。
大木の中にいるような囲まれた感覚と、光や風が通る開放感があふれる天神町place。ほの暗さと、光や風、緑の変化を体感できる中庭は、住人のかけがえのない居場所となりそうだ。
人が暮らし始めた湯島の住宅は、これからどのような変化があるのだろうか。異国の路地やヨーロッパの静かな教会、ガウディが設計したカサ・ミラ住宅のように、不思議で独特な空気が醸成されていくことだろう。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら