「新宿野戦病院」クドカンの原点回帰を予感する訳 「不適切」と「虎に翼」の風穴のさらなる拡大へ

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まず主演の小池栄子はアメリカ国籍の元軍医、ヨウコ・ニシ・フリーマン。もう1人の主演、仲野太賀は、『聖まごころ病院』に麻酔医の勉強で来ているが、美容整形クリニックとしてリニューアルオープンするという夢を抱いている。

生瀬勝久は、「聖まごころ病院」を更地にして自身の新たな事業を企てている院長の弟。岡部たかしは、医者としてのプライドや向上心がすっかり薄れ、妻子持ちにもかかわらずパパ活を夢見ている内科・小児科医。

また、そんな病院に絡むキャストもいい。濱田岳は、周囲から完全に舐められている歌舞伎町交番のお巡りさんで、橋本愛は「貧しい命も富める命も皆平等」「人権は保障されるべきだ」という強い信念を持って行動するNPO法人「Not Alone」の新宿エリア代表――。

書き写していてクラクラしてくる。そのクラクラはもちろん、ワクワクとつながっている。

「池袋ウエストゲートパーク」への原点回帰?

そして3つ目の注目点として、上記のような奇天烈なキャラがみんな、自然に馴染むであろう新宿歌舞伎町という舞台設定だ。公式サイトには、こう書かれている。

――新宿・歌舞伎町にたたずむ病院を舞台に、ホストやキャバ嬢、ホームレス、トー横キッズ、外国人難民などさまざまなバックボーンを持つ“ワケあり”な登場人物たちが交錯する社会の構図をテーマとし、官九郎節ともいえるときにユーモアを織り交ぜながら、さまざまな悩みや問題を抱えながらも人生を強く生きる人たち・仲間・家族を通して、「命」の尊さを投げかける新たな救急医療エンターテインメントをお届けします。

宮藤官九郎作品のほとんどを見てきたが、印象の鮮烈さでいえば、彼の連続ドラマデビュー作『池袋ウエストゲートパーク』(2000年、以下『IWGP』)が最高水準だろう。

池袋における不良集団の抗争という設定の上で、有象無象の奇天烈キャラがワチャワチャし続けるストーリーを眺めながら、当時私は「21世紀のドラマが始まった」と確信したものだった。

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