西村さんは、ニューヨークの4年制大学でアートと経営を学んだ。卒業後、アメリカで広告業界のクリエイティブな仕事をしたいという夢はかなわず、職探しには苦労した。だが、「クリエイティブなことをしたい」という欲求は、その後仕事ではなくプライベートの領域で満たされていくことになる。
クックパッドに出会いコンテストにはまる
西村さんが料理にはまったきっかけは、クックパッドだった。彼(後の夫)のために作った料理の写真を、特に目的もなく撮りためていたのだが、ある時、彼が「写真をアップしておいたら記念になるよ」と、「クックパッド」のことを教えてくれたのだ。
初期のクックパッドは、「料理のFacebook」のようなSNS的要素の強いものだった。西村さんは、クックパッド上での交流が楽しくてすっかりヘビーユーザーになったという。また、クックパッドの企画したレシピコンテストに参加したことをきっかけに、クックパッドに限らずさまざまなところで行われているレシピコンテストを見つけては、参加するようになった。
「すっかりはまって、仕事の合間も家に帰ってからも、ずっとレシピを考えていましたね。負けず嫌いなので入賞できないと悔しくて泣いていました」
面白いのは、たくさん参加するうちに、勝てるコンテストとそうでないコンテストがわかるようになったという話だ。
「写真やレシピが評価されて1次審査は通るんです。でも、会場に行って実際に作るところを見られる2次審査で勝てないということが結構ありました。やっているうちに気づいたのが、『栄養士や料理学校の先生が審査員だと入賞できない』ということ。私は栄養学や料理を専門的に習ったことがないのでわからないのですが、栄養バランスとか味付けのプロセスとか、専門的に学んだ人にしかわからないアピールポイントがあるんだな、と思いました」
それに気づいてからは、審査員を見て勝てるコンテストだけに応募するようになった。
「私は料理学校で教えているようなポイントはわからない。じゃあ料理学校に行きたいのかと考えるとそうではなくて、『いいや、このままで』と思ったんです」
専門家に評価される「正しい料理」ではなく、自分なりの「おいしい」や「楽しい」を大事にしたいという思い。現在の動画作りに通じる、西村さんのクリエイター魂を感じるエピソードだ。
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