医薬品の販売規制案にドラッグストア反発の事情 市販薬のオーバードーズ問題に有効な規制とは

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「手の届かない場所の陳列」に関しては、カウンター奥への陳列(店頭では空箱陳列)、あるいはシールドに鍵をかけるなどの対応が想定されているが、ドラッグストア業界は前者については、総合感冒薬は棚3本分あり、「カウンター奥のどこにそんな場所があるのか」と反発。

後者については、鍵を開けるなどの作業によって購入者との間にトラブルが発生しカスハラ増加要因となること、購入者自身が商品を手に取ることができなくなるなどと反対意見を表明している。

また「購入者情報の記録・保管」については、サイバー攻撃が急増する中、企業が負うリスクが大きいことなどを指摘している。

「とりまとめ」の内容に反対しているのはドラッグストア業界だけではない。楽天グループ社長の三木谷浩史氏が代表理事を務める新経済連盟は、“濫用薬”の販売時に、購入者とのビデオ通話を介するいわゆるオンライン服薬指導形式とすることに反対している。「インターネット販売にビデオ通話を導入する負担は大きく、容易ではない」「対象商品や対象者への取り扱いを諦める事業者が多く発生し、市販薬へのアクセスが阻害される可能性」などの意見を表明している。

現状、市販薬を取り扱う事業者にとって、規制の強化は、コストの増大や収益減をもたらす可能性が高く反発は大きい。

「オーバードーズで何人死んでいるのか」

ドラッグストア業界の制度部会での発言や提言に対して、気にかかる箇所がいくつかある。

例えば日本チェーンドラッグストア協会の森氏は、5月16日の制度部会で「OD(オーバードーズ)、ODというけれど、どのくらいの人が死んでいるのか」と発言した。真意は、多くの人が適正使用している中で利便性が損なわれることのデメリットが大きいとの訴えなのだろうが、この発言自体は「本当にドラッグストア業界は市販薬の濫用という社会問題に向き合っているのか」という疑問を持たされる。

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