塩害、放射能汚染……風評でも大打撃、農業は復旧のメド立たず、そうま農協の苦悩
そうま農業協同組合(JAそうま)は、福島県浜通りの北部に位置する。北は宮城県に接し、南は浪江町に接する。新地町、相馬市、南相馬市、飯舘村が対象地域となる。南相馬市の一部は、原発事故のあった福島第一原発から30キロメートル圏内にあり、警戒区域、避難準備地域にかかっているところもある。
福島第一原発から30キロメートル圏外でも、飯舘村は、放射線量が高く、計画的避難地域に指定され、村民は順次避難、今は生活している人はいない。幹線道路を除き、村民以外の人が村に入る場合は、通行許可証を必要とする。
幹線道路から遠くに山林が見えるが、その道路と山の間には、去年までは水田があり、この夏の季節は青々とした稲穂がなびいていた。しかし、今年は、コメの作付けはできない。
稲穂の代わりに、雑草が背を高く伸ばし、道路から山林までの広い地域は一面雑草で覆われていた。地元の人はこの様子を「飯舘はジャングル化している」と、放置されて荒れ果てた田畑を見て、嘆いていた。
昨年、2010年のJAそうまでは、水田面積1万2060ヘクタール、作付け面積は8384ヘクタールあった。しかし、今年の作付面積は、その約4分の1の約1600ヘクタールになった。
3月11日の大震災で、津波と原発事故による放射能汚染のため、まさに甚大な被害を受けた。水田は、津波の被害だけで4321ヘクタールが冠水、原発による被害(南相馬市と飯舘村では作付けできない)5439ヘクタールと合わせ、震災による直接的な被害は約1万ヘクタールに及ぶ(残りの土地は転作など)。