塩害、放射能汚染……風評でも大打撃、農業は復旧のメド立たず、そうま農協の苦悩

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 同じ福島県でも相馬市のスーパーには、旬の福島産のモモはなく、山梨県産のモモが並べられていた。野菜については、同じように、福島県産はほとんどない。
 
 魚介類についても、地元産はまったくない。相馬漁港は停止状態にある。市場は仮復旧までこぎ着けたが、「風評被害で売れないのに、漁に出てもしょうがない」(地元漁師)とあきらめている。漁船は港につながれたままだ。スーパーに並ぶ魚介類は加工品も含めて、海外産が多かった。

スーパーで起こっている現象がコメにも見られるかもしれないと危惧する声は多い。「東京の人が福島産コシヒカリを食べなくても、地元の人は食べてくれるだろう。コメこそ地産地消でいけるのではないか」(ある農家)という期待も、野菜同様に、地元でさえ「福島産」は売れないという状況になってしまう可能性は否定できない。

JAそうま関係者には「風評被害はどうしようもない。あと2~3年は我慢するしかない」とあきらめの声も聞かれる。しかし、他の農産物では「汚染ゼロ(規制値未満)」でも「福島産」というだけで売れないことが現実に起こっている。このイメージは2~3年ではたして消えるのか。
 
 地震、津波、原発事故、汚染、そして風評という被害に遭った。その中でも、風評被害がいちばん厄介な問題だ。このままでは、福島の農業と漁業はなくなっていくかもしれない。
(木村 秀哉 =東洋経済オンライン)

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