仏マクロンの決断は第3次世界大戦を招きうるか 6月30日にフランス総選挙、ロシア派兵は実現するか

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しかし、国民の多くはこれを認めてはいない。ことごとく議会と対立している現状では、その実現の可能性はない。しかも、残り在任期間は3年である。

任期後は私人に戻るしかない。民主主義社会では大統領は終身ではないし、皇帝になることもできない。確かに八方塞がりなのだ。まさか3度目の正直、すなわちクーデターを計画しているわけでもあるまい。

マクロンの決断で世界が揺れる

反極右戦線を糾合しようにも、今のところ左派の結集すらも難しいかもしれない。また旧来の左派(社会党)と右派(共和主義者)もマクロンを見放すかもしれない。そうなると、解散前により大幅に議席を減らすこともありうるだろう。

しかし、マクロンは登場したときから策士であると言われ続けてきた。マジシャンともいわれていた。彼にはどんな秘策が隠されているかはわからないところが、いよいよもってナポレオンに酷似しているのだ。

ドゴールの道を歩むのか、レオン・ブルムとなるのか。マクロンはたんなる小さなアリにすぎないのか、それともライオンなのか。選挙の結果が気になるところである。

もちろん、この選挙はマクロンの権力維持の問題にとどまらない。下手をすると好戦的な人物であることで、第3次世界大戦のきっかけをつくった人物としてその名を永久に残すことになるかもしれない。

これはたんなるフランスの議会選挙だが、世界はその結果に注目しなければならないだろう。

的場 昭弘 神奈川大学 名誉教授

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まとば・あきひろ / Akihiro Matoba

1952年宮崎県生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程修了、経済学博士。日本を代表するマルクス研究者。著書に『超訳「資本論」』全3巻(祥伝社新書)、『一週間de資本論』(NHK出版)、『マルクスだったらこう考える』『ネオ共産主義論』(以上光文社新書)、『未完のマルクス』(平凡社)、『マルクスに誘われて』『未来のプルードン』(以上亜紀書房)、『資本主義全史』(SB新書)。訳書にカール・マルクス『新訳 共産党宣言』(作品社)、ジャック・アタリ『世界精神マルクス』(藤原書店)、『希望と絶望の世界史』、『「19世紀」でわかる世界史講義』『資本主義がわかる「20世紀」世界史』など多数。

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