仏マクロンの決断は第3次世界大戦を招きうるか 6月30日にフランス総選挙、ロシア派兵は実現するか

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しかも、極右への投票率の流れだけでなく、4位は極左政党の不服従のフランス(LFI、メランション代表)で、政権党のマクロンの「再生」は極右と極左に挟まれ、さらに保守党に押されたという結果となったのだ。

この躍進がショッキングなニュースとして飛び込んできた。だからこそ、マクロン大統領は、その日のうちにフランス国民議会の解散を宣言し、6月30日(第1回投票)に総選挙を行うと決意表明を行ったのである。

フランス憲法12条では、首相と議長の了解を得て、大統領が議会を解散できることになっている。

フランス大統領と国民議会の関係

フランス・ストラスブールにあるEU議会は、ベルギー・ブリュッセルのEU理事会(各国首脳などによって構成される執行委員会)と並ぶEUの柱だ。

しかし、執行部であるEU理事会は、各国首脳であるがゆえに、大統領や首相の意思が反映する。大統領の意思とEU議会は、少なくともフランスにおいてはギクシャクすることになったことは間違いない。

EU議会で敗北したからといって、それがそのままフランス国民議会に反映されるわけではない。国民議会はフランスの地方選挙で選ぶ議会であり、その投票形式はまったく違う。

しかし2年前、大統領選挙後の総選挙でマクロン支持の政党は多数派を取れなかったこともあり、この2年間、大統領と議会との関係はつねに対決状態であった。今回の結果はそれを反映したといってもいいかもしれない。

とすると、マクロンは民意を尊重して国民議会を解散しようということなのであろうか。いやそうではあるまい。

議会選挙は比例全国区ではなく地方区からなる選挙であり、2回目の最終決戦投票で無難な政党が選ばれる可能性が高い。極右政党や極左政党が勝つ可能性は少ないともいえる。それをにらんだうえでの解散だということだろう。

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