三軒茶屋が「若者の街」へとひっそり変貌した理由 全国へ波及する飲食トレンドがこの街から生まれる

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理由③下北沢の再開発で、若者が南下した

コロナ禍では、特に20代の若い人が増えたと三軒茶屋の飲食店オーナーたちは口にする。緊急事態宣言中にアクティブだったのは20代の若い層と言われていたことに加え、下北沢の再開発も影響していると筆者は考える。

茶沢通りの様子
茶沢通りの様子。バスに乗れば、下北沢まで10分程度の距離感。十分に徒歩圏内でもある(編集部撮影)

もともと下北沢は10代も多い「若者の街」のイメージが通っていたが、今、その印象も変化している。再開発によって駅前には「ミカン下北」はじめ商業施設が開業。若年層向けの店舗以外にも、30代からの大人が楽しめるような酒場がテナントとして多く入っている。確かに駅前こそ若者でにぎわう下北沢だが、少し奥に入った場所には大人向けの酒場も増えてきている。

その一方で、下北沢の若者たちは三軒茶屋に流れ込んでいるのではないか。下北沢から三軒茶屋までは茶沢通りを南下すればすぐの距離だ。

実際に三軒茶屋には20代に人気のネオ酒場が増えている。栄通り商店街方面にある焼鳥店「酒羅場(しゅらば)」は、若い女性に人気のネオ酒場だ。居酒屋らしかぬカフェのようなスタイリッシュな空間で焼鳥を出すというギャップが人気となり、Instagramで口コミが拡散。店内は見渡す限り20代の女性客でいつも満席となっている。

三軒茶屋の次なるトレンド発信地は?

酒場トレンドを最初にゼロイチで作り出すのは、大手企業ではなく、小さな個人店であることが多い。潤沢な資金があるわけではないが、知恵を絞り、オーナーの想いやこだわりを表現した店づくりが人の心をつかむ。そしてそのヒットを見て大手はじめ多くの飲食店が参考にして広がり、いつしかトレンドになっていく。

三角地帯のスクショ
三角地帯から、茶沢通りへ。三茶の酒場事情にも変化が起きている(出所:Googleマップ)

本稿で解説したように、三軒茶屋はそうしたトレンドを生み出す実力派オーナーたちの創業の地となっていったが、この酒場マーケットの活況に加え、昨今の不動産価格上昇の影響も相まってテナント物件の家賃は高騰。資金がない個人が創業店を三軒茶屋に出店するのは難しくなってきている。また、個人店中心だった三軒茶屋はコロナ禍を経て、大手企業による出店も目立ってきている。

では、次なるトレンド発信地はどこになるのか? 実力派個人店はさらに、一段離れた家賃の安いエリアで出店するしかないだろう。今後はさらに都心から離れたエリアで、後に大手も真似して全国に広がっていくようなトレンドが生まれていくのかもしれない。

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