「ミセス炎上」MV停止や即謝罪でも"延焼"の深刻度 ミセス・大森の謝罪は誠実だったのになぜ?
2021年、東京五輪開会式の企画統括だった電通のCMプランナー出身のクリエイティブディレクターが、お笑い芸人の渡辺直美さんにブタの格好をさせる「オリンピッグ」という企画を立てていたと報道されました。これは大批判を浴び、企画統括を辞任することとなりました。
また翌年2022年には、ミュージシャンの椎名林檎さんが新曲CDの販促グッズとして、ヘルプマークに酷似しているデザインを使用し、大炎上。これについて椎名さんは、これまでコメントを発表していません。それに対しても多くの批判を集めることとなってしまいました。
その点、今回の騒動でミセスの大森氏が迅速かつ自身の言葉で謝罪したことは、誠実な対応だったと言えるでしょう。XなどのSNSに直接書き込むのではなく、おそらく事務所スタッフもきちんと精査したであろうコメントを事務所のHPに掲載したことも、リスク管理としては適切だったと思います。
アーティスト自身がSNSなどに直接書き込みをするような無防備な体制は、大きなリスクでしかありません。昨年末から続くダウンタウンの松本人志さんと週刊文春をめぐる騒動でも、松本さん自身がXに投稿をしたことが、無駄に誤解や延焼を呼んだ可能性があると以前指摘しました。
アーティスト本人が謝罪文や釈明文を書くにしても、プロダクションや制作スタッフがその表現のリスク管理を徹底する必要があります。
アーティストに求められる「リスク管理」
こうした時流に対し、何をやっても批判される息苦しい世の中だと反発を覚える人もいるでしょう。CMだけでなくテレビ番組や映画などでも、つねにコンプライアンスを意識しながら制作しなくてはなりません。クリエイターにとっては、正直やりにくい時代とも言えます。
その是非についてはさまざまな考えがあると思いますが、私が企業の方への危機管理についてお話しする際には、ご自身の価値観は一旦脇に置き、あくまでビジネス視点で考えていただきたいと訴えています。
「この程度で炎上するほうがおかしい」という気持ちを持つ人もいるかもしれませんが、可燃の可能性があれば慎重に進めるのはビジネスなら当然だからです。作り手の価値観が正しいかどうかは重要ではありません。クリエイティブなものだからこそ、危険回避をするために、第三者を入れるなどして冷静に見極める目が必要なのです。
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