余命短い幼児に「命の不公平」を問われたら?

全受験生が凍りつく入試面接への向き合い方

子ども「あなたは健康で羨ましい。僕はもうすぐ死ぬ。不公平だ」

「私が健康で生きているのに、自分にはそれがかなわないことを不公平だと感じているんだね」

子ども「そうだよ、当たり前じゃないか」

「人間は生まれながらにして、生命の長さが同じでなければおかしいと感じているんだね。でも、そうじゃないから、そこが悔しいんだね」

とりとめもないやりとりに聞こえるだろうが、彼の吐き出す気持ちを受け止めそのまま投げ返すことで、彼の気持ちは高ぶりから少しずつ穏やかな鎮静へと向かうのではないだろうか。

余命いくばくもない弟に対し、姉が取った行動は

この入試問題との関連で、私にはもうひとつ想起される話がある。ある難病を患った高校生についての物語だ。

登場人物の少年は両親を早くに亡くし、姉と2人暮らしだった。ある日、その不幸に追い討ちをかけるように、自分が余命半年の難病であることを知る。少年は自暴自棄になり、万引き、ケンカなど荒れ放題となる。そして、たった1人の家族である姉にも辛く当たり、罵るようになる。

「俺はもう死んでいく身なんだよ。姉ちゃんに俺の気持ちが分かるか」

それを聞いた姉は考えに考えたあげく、意外な行動に出る。それは自らの命を縮めることだった。弟の命を延ばすことができないならば自らの命を短縮し、弟に合わせるしかない、と考えたのである。

幸い、手首を切った姉は救急に搬送され、命をとりとめた。そして、病院に駆けつけた弟は姉の捨て身の行動に、その後改心することになる。

どうだろう。先ほどの問いに戻って考えるなら、もちろん医師を志す者として、このような感情的な行動に走ることは適切でないだろう。また姉の行動は、すでに青年ともいえる弟の問題を自分の問題として抱え、解消しようとしている点にも、問題があると言える。

それでは、こんな回答ならどうか。私自身がこの難問に触れ思い起こした、”ある名言”を入れ込んだものである。

「『あなたが虚しく生きた今日は、昨日亡くなった人があれほど生きたいと願った明日』という言葉があります。残念ながら、今の私にはこの小児がんの子どもにかけるふさわしい言葉が見つかりません。しかし、この名言が示すように、この子どもの気持ちは分かるつもりです」

短い回答である。しかし、面接の冒頭でたったひと言こう答えるだけでも、医学部の教授はうんうんと、静かにうなずいてくれるかもしれない。

このほかにも、医学部入試に関する情報を小林公夫オフィシャルサイトにて紹介しております。ぜひ、併せてご覧ください。

 

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