「きれいでなくちゃダメ?」働く女性とルッキズム 漫画『ブスなんて言わないで』作者と考える

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

編集部:その男性がそういうリアクションを取ってしまうのも、社会の構造のせいだということですね。

とあるそう。そうやって「社会からそう思わされているんだ」と自覚して、折り合いをつけるだけで、気持ちは多少楽になると思うんですよね。

女性が総理大臣になったら?

編集部:そうなると、やはり社会の構造が変わればルッキズムにも変化が生じる?

とあるそう思います。ルッキズムは解決できない問題だと言われますが、私は「そんなことはありません」と答えるようにしていて。

トップが変われば、社会が変わる。だから私は、女性が総理大臣になったら、化粧をする女性は減るんじゃないかと思っています。

編集部:なるほど。

とあるそのために私たち個人ができることは、フェミニズムを学ぶこと。そして、フェミニズムを学んでいる政治家に投票すること。

すぐに変えられるものではないからこそ、小さなところから行動を起こしていくしかないと思っています。

ただ、そう思う一方で、フェミニズムになかなか関心を持てない人の気持ちもよく分かるんです。

私自身、フェミニズムに何だか怖いイメージがありましたし、20代の頃なんて何も考えずに生きていました。

編集部:フェミニズムに興味を持つようになったきっかけは何だったんですか?

とある:ここ数年、フェミニズムをテーマにした作品が増えてきて、自分もそういうものを描きたいと思ったことです。漫画家でなければ、今も興味はなかったかもしれません。

特にルッキズムに関しては、20代の女性はまさに渦中にいる立場。きれいでいなければならないという波に乗るのに必死だし、その恩恵を受けたい気持ちも否定されるものではありません。

ただ、自分が40歳になって思うのは、「若くてかわいい」に価値を求めすぎると、どんどん年をとるのが怖くなってしまうということ。

人生はおばさんになってからの方がずっと長いから、若いうちにルッキズムやフェミニズムに触れておいた方が生きやすいだろうなと思います。

「磯野真穂さんの『ダイエット幻想』(ちくまプリマー新書)は、『ブスなんて言わないで』を書く上で参考にした一冊。私たちの若さや痩せに対する願望はどこから来るのか、自覚的になった方がいいのではと気づかせてくれる本です。あとは、上野千鶴子さんの『女ぎらい ニッポンのミソジニー』(朝日新聞出版)も参考にさせてもらいました」(とあるさん)
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事