「きれいでなくちゃダメ?」働く女性とルッキズム 漫画『ブスなんて言わないで』作者と考える
とある:なくならないと思いますし、なくすべきだとも思わないです。
問題は「ブス」という言葉ではなく、美醜の価値が異常に高くなってしまっていること。「私、ブスですけど、だから何ですか?」となれるのが一番良いと思うんですよね。
編集部:「ブス」という言葉がなくなったところで、美醜の価値が高いままでは現状と変わらないですもんね。
実際、見た目に触れてほしくない人はたくさんいるし、その意見が正しいと納得する自分がいる反面、お世辞の「かわいいね」に救われてきた私がいるのもまた事実なんです。
だから、そういう会話を全部なくしてしまうのは危険だし、それによってつらい思いをする人もいる気がして。
編集部:分かります。
社会の「当たり前」を疑ってみる
今、雑誌やwebでルッキズムに関する特集が頻繁に組まれていますが、それに答えているのは、大体が“強者女性”です。私もその一人だという自覚があります。
とある:だから、これだけお話ししておいて恐縮ですが、どうかその人たちの話を疑ってください。
今まで男の人たちがつくってきたルールに、女性たちは長く苦しめられてきた。今は強者女性がルッキズムの新しいルールをつくろうとしています。
「これが正解なんだよ」と強い人が勝手に決めて世論を動かしていくのは、私はすごく嫌なんです。
編集部:『ブスなんて言わないで』という作品自体、「ブスなんていない」というメッセージへの反発から始まるわけですもんね。