アスベスト 広がる被害 大島秀利著
6年ほど前、兵庫県尼崎の旧水道管工場周辺で200人以上の中皮腫での死亡が発覚、あらためて震撼させたアスベスト公害。事件自体は終息したかにも見えるが、報道を手掛けた新聞記者である著者は、その根深さを告発する。
難燃性などから「奇跡の鉱物」と呼ばれたアスベストは、粉じんを吸った数十年後、罹患する人が多出する。東日本大震災での粉じん飛散が懸念されるうえ、2020年前後に全国で老朽建物の解体工事が集中し、アスベスト建材の粉じんが飛び散る「第2波問題」が起こりうるという。現在でも規制は甘く、飛散防止措置を怠った解体工事が横行。力尽き他界した被害者はこう言い残す。「被害は現在進行形で進んでいます」と。
岩波新書 798円
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