霞が関イクメンが育児で得た大きな気づき 「罪悪感のマネジメント」がカギ?

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いざ育休に入ってみると、育児が楽しいことばかりではないことがわかったという。育児には休憩時間もなければ、大人との会話もまったくなく、気詰まりになりがちだ。気分転換に地域の支援センターに行っても、男性の佐藤さんはママたちの輪に入ることはできず、3カ月の間、気楽に会話ができる相手はいなかった。

共働きの場合、夫が朝子どもを保育園に送り、妻が夕方迎えにいくケースが多い(写真は本文とは関係ありません)

育休が明けて娘が保育園に通うようになってからのこと。初めての遠足の日、たまたま妻が出張で不在だったため、朝4時台に起きて娘のお弁当を作った。

中身はサンドイッチに唐揚げ、ウインナー、トマトと至ってシンプルなもの。“ほかの子どもたちは、ママが趣向を凝らしたキャラ弁やかわいく工夫されたお弁当を食べるなか、娘はどんな気持ちでこのお弁当を食べるのだろう。からかわれたりしないだろうか――”。

料理上手なママが作るようなお弁当が作れない自分がふがいなく、さらにそのせいで娘がみじめな気持になるのはかわいそうと、一日中いたたまれない気持ちでいた。結局娘は「パパが作ったお弁当!」と、喜んで全部食べてくれて胸をなでおろすに至ったが、佐藤さんにとっては忘れられない1日となった。

「女性だからできるはず」の呪縛を知る

「育児が孤独で気詰まりな面があることは知られていても、こうした気持ちまでは、育児に参加しない男性にはわからないと思います」

キャラ弁が流行しているといっても、すべての女性が料理好きでキャラ弁作りを楽しめるわけではない。女性誌には子育てをしつつオシャレにも手を抜かないスーパーママも登場するが、みながそんな女性になれるわけでもない。“女性だから”、“母だから”と当たり前のように役割が求められるなか、辛い思いをしている人も多いのではないかということにも気づくようになった。

「すべての女性が輝く社会づくり推進室」での業務にも、こうした気づきは大いに役に立っている。

「この政策の目的は、多様な女性をそれぞれの立場やライフステージに応じて、家庭でも社会でも活躍できるよう支援するというもの。子育てを通じて、その多様さの一部だけでも理解できたと思っているので、政策議論のなかでその気づきを生かせればいいと思っています」

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