「生保業界のビッグモーター」にすり寄る生保 生保による過剰な便宜供与と利益供与が復活

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FPパートナーが、そうした生保からの各種支援実績を踏まえて、顧客に推奨する保険を決めているとすれば、顧客本位とは程遠い。1億円近い広告費を払っているアフラックの保険を販売すると、FPパートナーの社内表彰上の評価において、獲得保険料が「3倍でカウントされるようになっている」(FPパートナー関係者)。アフラックの保険を強力に勧める動機づけになっているようだ。

金融庁は乗り合い代理店に対し、顧客の意向をしっかり把握したうえで、複数の商品を比較して説明すること(比較推奨販売)を求めている。保険会社から乗り合い代理店に対する一連の便宜・利益供与は、そうした比較推奨販売を歪めるおそれがあり、「実に気持ち悪い。顧客本位から懸け離れている」と金融庁幹部は憤りを隠さない。

銀行法上の必要な届け出をしていなかったことも発覚

また、FPパートナーの複数の関係者によると、銀行代理業として住宅ローンの仲介も手がけている中で、営業拠点の変更などに伴う銀行法上の必要な届け出をしていなかったという「不祥事」が、4月以降に発覚したという。法令順守体制に不備があり、顧客本位とはいえないような業務運営が、一部でまかり通っているようだ。

FPパートナーは「現時点で不祥事案(不祥事件)は無いと認識している。不正確な情報によるものと考える。ついては(記事に)記載しないよう、お願いしたい」と回答している。

プライム上場の大規模代理店として力を持ったことで、生保各社がすり寄り、業界団体の生命保険協会が業務品質の高い代理店として認定しているというのが、FPパートナーの偽らざる実情だ。このビジネスモデルは今後も維持できるのだろうか。

※6月17日発売予定の週刊東洋経済の特集「生保・損保の真価」から、一部の記事を先行配信しています。
中村 正毅 東洋経済 記者

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なかむら まさき / Masaki Nakamura

これまで雑貨メーカー、ネット通販、ネット広告、自動車部品、地銀、第二地銀、協同組織金融機関、メガバンク、政府系金融機関、財務省、総務省、民生電機、生命保険、損害保険などを取材してきた。趣味はマラソンと読書。

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