2025年、全都道府県で「最低賃金1000円」達成せよ 中小企業の「支払い能力」は過去最高を記録中

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最低賃金はアルバイトやパートに適用されるものであり、正社員には関係ないというイメージがあるかもしれません。たしかに、昔はそのとおりでした。

しかし、いまや最低賃金の水準が正規雇用の給与に近づいているため、正規雇用への影響が増しています。最低賃金の引き上げの重要性はますます大きくなっているのです。

1994年までは、例えば男性大卒の初任給は最低賃金の2倍以上でしたが、2023年では1.46倍まで下がっています。高卒初任給も同じ期間で1.6倍から1.2倍を下回るほどに下がっています。

最低賃金の影響が増していることは、2024年のデータで確認できます。産労総合研究所の調査によると、2024年4月に入社した大卒の初任給は平均22万6341円となり、前年度比で4.01%増加しています。また、高卒の初任給は18万9723円で、こちらは前年度から4.71%増となりました。

やはり、高卒の引き上げのほうが大きいです。これは、最低賃金の引き上げにつられて上がったと解釈するのが妥当です。

最低賃金に「下限」を定める重要性

私は、企業の利益が最高水準を更新している中、潜在能力が高い日本人労働者を1時間当たり1000円以下で雇えるのは、明らかにおかしいと考えています。

しかし、最低賃金は、急に引き上げると短期的な摩擦が起きます。長期的に適切に引き上げることで、雇用への影響をなくせることが、統計的な分析によって確認されています。

具体的には、2024年の下限を950円に、2025年には下限を1000円にすることが妥当でしょう。

それによって、2025年には、まじめに働いているのに時給1000円以下で働く日本人をゼロにすることが可能となります。潜在能力が高く、まじめに働く日本人を1000円以下で雇うことは罪だと思います。

事実、東京など都市部の最低賃金と地方の最低賃金の差が開けば開くほど、若者が東京に移住するインセンティブが拡大し、一極集中が進むので、下限を設けることによって、一極集中の是正に貢献します。

そもそも、1989年から2006年の間、地方と東京の最低賃金の格差はずっと100円前後でした。それが一気に200円台に開いたのが2013年です。

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