2025年、全都道府県で「最低賃金1000円」達成せよ 中小企業の「支払い能力」は過去最高を記録中

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本来、政府は最低賃金の引き上げを決定する際、徹底的な企業分析を統計学者と経済学者に依頼し、商工会議所などにヒアリングを行い、エビデンスに基づいて決定するべきです。しかし、日本にはまだその制度がありません。労働者と経営者が力比べをしている、極めて低次元な制度となっています。

国際的に、日本の最低賃金はきわめて低い

第2次安倍政権以降、最低賃金は平均して2.7%引き上げられています。コロナ禍の2020年は1円だけの上昇でしたが、それを除けば、平均の引き上げ率は2.96%です。この間の平均インフレ率は1.11%なので、最低賃金の実質引き上げ率は1.85%となります。

2024年のインフレ率はIMFの予想で2.24%です。これに1.85%の実質引き上げ率を加えると、4%の引き上げ率となります。しかし、これでは不十分です。

日本の最低賃金は国際的に極端に低く、購買力調整をしても世界23位という低水準にあります。日本の最低賃金はハンガリーやルーマニアよりも低く、一流先進国とは思えない水準です。

さらに、日本の最低賃金は先進国の常識とされる「50%―60%ルール」よりかなり低いです。このルールは、最低賃金が労働者の年収の平均に対して50%、中央値に対して60%を超えるように設定するべきというものです。

EUではすでに法律化されていますが、日本はこの基準を大きく下回っています。したがって、全体の賃上げ率を継続的に上回る引き上げが重要です。

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