2025年、全都道府県で「最低賃金1000円」達成せよ 中小企業の「支払い能力」は過去最高を記録中

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そもそも、これほどの人手不足の中、時給1000円も払わない企業で働く必要はありませんし、時給1000円も支払えない企業を存続させるために、労働者が犠牲になる必要もありません。

年収の壁を廃止せよ

最低賃金の引き上げによって雇用は減りませんが、労働供給量が減ることはあります。それは年収の壁の悪影響によるものです(参考記事:日本の選択「年収の壁の廃止」か「移民に参政権」か)。

高齢者の数が減らないのに、生産年齢人口が激減することで、労働者1人当たりの社会保障負担が増えています。その負担に耐えるには、一人でも多くの日本人がフルに働き、フルに稼ぐ必要があります。

しかし、年収の壁によって、優秀な女性は最低賃金が上がった分だけ、控除を継続するために労働力の供給を減らします。年収の壁は、明らかに経済合理性がなく、経済活動に歪みをもたらしています。家庭の年収も減少させています。

政府は、年収の壁を引き上げるのではなく、稼ぐだけ稼いでもらうために、多くの先進国同様に、年収の壁を廃止するべきです。今の税優遇は維持したうえで、「平成何年生まれ以降」と年齢を区切りつつ、第3号被保険者制度も廃止するべきです。

日本経済は、人口減少に伴い、消費者の数が減少しています。このままでは経済の規模そのものが縮小します。それを防ぐためには、若者を中心に現役世代の年収を増やすしかありません。

政府は年収の壁を廃止し、継続的に最低賃金を引き上げるべきです。

デービッド・アトキンソン 小西美術工藝社社長

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David Atkinson

元ゴールドマン・サックスアナリスト。裏千家茶名「宗真」拝受。1965年イギリス生まれ。オックスフォード大学「日本学」専攻。1992年にゴールドマン・サックス入社。日本の不良債権の実態を暴くリポートを発表し注目を浴びる。1998年に同社managing director(取締役)、2006年にpartner(共同出資者)となるが、マネーゲームを達観するに至り、2007年に退社。1999年に裏千家入門、2006年茶名「宗真」を拝受。2009年、創立300年余りの国宝・重要文化財の補修を手がける小西美術工藝社入社、取締役就任。2010年代表取締役会長、2011年同会長兼社長に就任し、日本の伝統文化を守りつつ伝統文化財をめぐる行政や業界の改革への提言を続けている。

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