「貧しい日本」を生きる子どもに大人ができること 大人世代と同じ教育で幸せになれるのかという大きな疑問

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どの国もお金に余裕があるから教育予算を増やしているわけではありません。どの国も一様に大変なのですが、それでも教育の大事さがわかっているから増やしているのです。そこが日本と違うところです。

2022年度時点で不登校を選択している小中学生は約30万人です。これほど多くの子どもたちが学校にノーをつきつけているのは、さまざまな理由があるとはいえ、集団主義を前提とした学校の設計自体に無理がきているからです。

不登校を選択した子どもたちの多くがフリースクールを選択しています。学校よりも個別最適化された学びができるからです。

東京都は2024年度から不登校の子どもを対象にフリースクール等の費用を月2万円の助成を行っています。ぜひ、これを全国に広げていくべきだと思います。そのためには、各自治体任せにするのではなく、国レベルで行う必要があります。

ホームスクーリングを選択する子もいますので、当然そちらにも助成が必要です。私は、フリースクールやホームスクーリングを選択する子どもたちにこそ、大きな可能性があるのではないかと思います。そういう子たちは、主体的な自己実現力がある大人になる可能性が高いと思います。日本のGAFAMはそういう子たちの中から生まれるのかもしれません。

幼児教育は遊び中心にする

学校教育と同時に変える必要があるのが、幼稚園や保育園における幼児教育です。ひと言でいうと、遊び中心に舵を切ることが大事です。でも、実際には遊び中心の園は少なくて、小学校の内容を先取りして取り組む小学校の予備校のような園が多いです。

例えば1時間目ひらがな、2時間目数のお稽古、3時間目鼓笛隊の練習という感じの園もあります。なぜなら、そのほうが親の受けがよくて経営が安定するからです。そこを卒園した子どもたちは、確かに小学校入学後のスタートダッシュはよくなります。でも、その後に伸び悩む子も多いのです。

実は、遊び中心の自由保育のほうが子どもが伸びることが、発達心理学の研究ではっきりわかっています。遊びの中で非認知能力・読み書き能力・語彙力などが大きく伸びるからです。実際に、幼児期にたくさん自由遊びをした子ほど大学受験でもよい結果が出るということが、内田伸子お茶の水女子大学名誉教授の研究でわかっています。

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