なぜ日本がそこに弱いのかというと、子どもの頃から学校でも家庭でも次のように言われて育つからです。
・親や先生に言われたことをちゃんとやりなさい
・自分の好きなことややりたいことではなく、やるべきことをやりなさい
・得意なものを伸ばすのではなく、苦手なものを人並みにできるようにしなさい
・とにかく短所を直しなさい
特に日本の学校は、授業も行事も含めて全て、みんなが同じ時に同じことを同じようにする「集団主義」「横並び主義」が大前提に設計されています。授業は未だに最大40人という大人数の一斉授業が基本です。
ですから、授業についていけない子は、わからないまま座っているだけでおいていかれます。学力が高い子にはわかり切った内容なので時間の無駄になります。そういう子はどんどん高いレベルに進めるようにすればもっと伸びていけるのに、一斉授業ではそれができません。
学校行事も同様で、個人が主体的に活躍できる場面は少ないです。何事においても同調圧力が強くて、周りに合わせられない子は生きづらい思いをします。こういう環境では組織の歯車になる人は育ちますが、独創的なアイデアをひらめいたり、やりたいことを主体的にどんどん実行したりするような人は育ちません。
学校でも家庭でもそういう環境で育ち続けて、大人になって仕事を始めてから急に「みんなと同じじゃダメだ。他がやっていない企画を考えろ。オリジナリティを出せ」と言われても無理に決まっています。
教育予算を増やして学びの個別最適化を実現しよう
学校も家庭も、横並び主義から抜け出す必要があります。特に日本の学校はアップデートする必要があります。つまり、もっと子ども1人ひとりの興味関心や学力に応じて学べるスタイルに変えていく必要があるのです。これを学びの個別最適化といいます。そうすれば、オチコボシもフキコボレもなくなり、どの子も自分の能力とペースに応じて伸びていくことができます。
とはいえ、先生たちは超ブラックな労働環境の中で既に精一杯やっていて、これ以上のことを求めるのは無理です。必要なのは、教育予算を増やして先生の数を増やし、少人数教育を実現して個別最適化ができる態勢を作っていくことです。先進各国は既に少人数教育に舵を切っています。
日本もそうすべきです。そのためには、教育に向ける予算を増やす必要があります。ところが、日本の教育に対する公的支出は、GDPの2.8%で、OECD平均の4.1%を大きく下回り37カ国中で36位(2019年時点)。ちなみにその前年は最下位で、その前には6年連続最下位を記録したこともあります。
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