マイホーム探し「中古戸建て」を見るポイント4つ 「持ち家」を望む若い世代に人気だが注意点は?

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また朽ちた木材がシロアリの餌食になるなどの要因ともなってしまうのだ。木造の構造体、耐震性能を含めた建物の劣化へと大きな影響を及ぼすことになりかねない。

加えて、建物の傾きにも注意したい。たとえば2000年以前の山あいのベッドタウン、造成地のような箇所は要注意だ。

擁壁と建物が近い敷地に立つ中古戸建てでは、地盤の補強が行われていない可能性も考えられる。造成時に掘り起こした土の締固めが不十分などの理由で地盤が軟弱な場合もある。

中古物件の場合、そもそもの耐震性能が100だったとしても、劣化によりそれ以下となる可能性があることを意識しておきたい。加えて見逃された初期不良が後々のトラブルにつながるケースも少なくない。

「見えない」部分を知るためにできること

中古の戸建てを購入する際の注意点について、4つの観点から駆け足でご紹介してきた。強調したいのは、新築以上に「見えない部分を見る」に重きを置いてほしいという点だ。

外側がリフォーム・リノベーションで美しくなっていても、見えない箇所はどうなっているのかはわからない。建物を見るプロ、インスペクターに依頼し、将来的に発生するコストもある程度想定したうえで、物件を選んでいくという考え方が大切になってくる。

また建物のみならず、隣家との境界や関係性、道路の所有なども忘れずにチェックしておきたい。このようなポイントをおさえ、納得のマイホームを手にするためには、戸建てに長けた不動産エージェントをしっかりと選ぶのも重要だ。

「見えない部分」に目をこらすという意味では、新築より選ぶのが難しい中古住宅。専門家のアドバイスを受けながら、納得できる持ち家を探してほしい。

中古の戸建て購入で注意したいこと
長嶋 修 不動産コンサルタント(さくら事務所 会長)

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ながしま おさむ / Osamu Nagashima

1999年、業界初の個人向け不動産コンサルティング会社『株式会社さくら事務所』を設立、現会長。以降、さまざまな活動を通して“第三者性を堅持した個人向け不動産コンサルタント”第一人者としての地位を築いた。国土交通省・経済産業省などの委員も歴任している。主な著書に、『マイホームはこうして選びなさい』(ダイヤモンド社)、『「マイホームの常識」にだまされるな!知らないと損する新常識80』(朝日新聞出版)、『これから3年不動産とどう付き合うか』(日本経済新聞出版社)、『「空き家」が蝕む日本』(ポプラ社)など。さくら事務所公式HPはこちら
 

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