こうして、オフィスやホテルには向かないが、マンションが集中して建つエリアでは価格が高騰する。その代表格が湾岸のタワーマンションだ。
大事な視点は「立地が優れているか」
勝どき駅の例を見てみよう。既存物件の相場はわずか2年の間に3割ほど値上がりした。同じ時期に売り出したA物件とB物件は販売期間が異なる。
Aは早々に売り切ったが、Bは相場上昇に合わせて新築分譲価格を切り上げて8年間かけて売っている。Aのほうが立地はいいが、販売時期のずれで新築単価としてはBのほうが高くなってしまった。このため、現在の中古単価はBのほうが高い。売却しようとしている人は自分が購入した価格を基準に、これよりも高く売りたいと考え、売出価格設定するからだ。
この2つの物件のどちらを購入するかを悩んでいた人から相談を受け、この事態が発覚した。私は迷わず立地がよくて、安いAを購入したほうがいいと告げた。金融取引のアービトラージ(裁定取引)同様に、現時点では割安なAは値上がりしやすくなるからだ。
今後もこうしたことが起こるだろう。その際に大事な視点はどちらが立地において優れているかである。マンションのように、周辺の取引事例が高くなればいくらにでもなり得る商品は価格メカニズムの神髄を理解しているものが得をするのである。それは立地がいいマンションほど、価格を上げやすいということに尽きる。
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