その売り主になるのは、すでに持ち家を持っていた高齢者になるケースが多い。相続が発生して売却される土地は死亡人口と比例するのに対して、戸建てを購入したい人はファミリー世帯に限られる。つまり、供給は死亡人口、需要は出生人口に比例するのだ。
少子高齢化が急速に進む日本では死亡人口は増え続け、出生人口は減り続け、2008年以降死亡人口が出生人口を上回り、総人口が減少の一途をたどっている。こうなると、戸建て用地の需給バランスは逼迫する方向には動かない。
コロナ禍で一時的に歯止めはかかったが…
これに一時的に歯止めをかけたのが、コロナ禍のステイホームだった。リモートワークが増え、仕事場スペースがない自宅の住み替え需要が急増した。この際、戸建て用地価格は上昇した。その際に飛ぶように売れた新築分譲戸建てを街の不動産屋が土地を買って、ビルダーに建ててもらい、短期で売りさばく事業に参入が相次いだ。
こうして、戸建て用地価格は高騰したが、今は売れ行きも落ち着き、土地の在庫件数は急増し、価格が落ち始めているのが2024年の現状だ。
一方で、マンション用地はマンションだけでなく、オフィスビルや商業ビルやホテルなどになる可能性がある。今なら、コロナ後に盛り返したインバウンド需要が旺盛で代金を上げやすいホテルの収益性をマンションが上回るのは難しい。
そうなると、都心や駅から離れた立地でないと新築分譲マンションは供給されない。単純にこれまでとは立地が劣るということだ。とはいえ、こうした高層の建物が建つ買い手の多い土地は競争入札などを通して最高値で買い上げられていく。安くなる理由などどこにもないのだ。
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