薬物依存症者の「逮捕実名報道」家族が抱く違和感 過剰な報道が依存症者の社会復帰を阻むと懸念

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薬物依存症者
薬物依存症者の実名報道について、報道各社で判断が分かれています(metamorworks/PIXTA)

薬物依存症者の回復を支援してきた施設「木津川ダルク」(京都府木津川市)の入寮者3人が覚せい剤取締法違反の容疑で逮捕され、一部メディアで実名報道された。

これを受けて薬物依存症者の家族会や支援団体は連名で、逮捕と報道の在り方を問題視する声明を発表。今回のような形で逮捕や報道がなされると、薬物依存の当事者たちをかえって支援から遠ざけてしまうとの懸念を表明した。

大きく取り上げられた逮捕・実名報道の影響

木津川ダルクの加藤武士代表によると、入寮者3人は5月8日、京都府警木津署に逮捕された。同署は別の薬物事件で逮捕された人の供述をもとに、約1カ月前に3人への任意捜査を始め、ダルクもその時点で再使用の事実を把握したという。

ダルクは、薬物依存症者の自発的な意思に基づく回復を支援する施設で、入寮者の行動や外出を制限することは基本的にはない。3人は任意捜査が入った段階で逃亡することもできたが、警察の事情聴取などに協力しながら薬物の再使用と向き合い、施設の提供する回復プログラムを続けてきたという。

加藤代表らが警察の対応を待っていたところ、同署から5月7日、「明日逮捕する」との連絡が入った。

「自分たちで出頭すると伝えたのですが、警察から『それはやめてほしい』と言われました」

さらに逮捕から約2時間半後、朝日新聞が先行して報道し、各社が追随したことで事件はよりセンセーショナルに扱われることとなった。

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