「超円安」終わらない日本が映し出す"暗い未来" 日米の金利差だけで説明できない本当の原因

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(出所)『超速・経済学の授業』

2013年以降の日本の貿易収支を表したグラフです。折れ線グラフが輸入と輸出を示しており、その差額が棒グラフです。ゼロより下になると赤字、ゼロより上になると黒字です。2013年から約5年程度は、貿易赤字が続き、そのあとは貿易黒字に移行しているのが見て取れます。

しかし、2021年になると貿易赤字が拡大しています。背景にあるのはエネルギー関連、とくに原油関連の輸入額が大きくなったことです。

では、なぜ輸入が増えることが円安要因につながるのでしょうか。それは輸入に伴ってドル建ての支払いが必要となる=ドル買い需要が高まるためです。今後も、輸入による貿易赤字が続くと、日米の金利差が縮小方向に向かったとしても、円安圧力が続く可能性があることを押さえておきましょう。

なかなか円高にはならない背景

また、経常収支の動向を見ると、2024年現在黒字基調が続いています。年度単位では、2023年度の経常収支は25兆3390億円の黒字です。一般社団法人日本貿易会が昨年末に発表した内容によれば、2024年度は26兆9520億円ほどの黒字になるとも予測されています。さらに、2024年3月の経常収支速報値は貿易収支とサービス収支の黒字化に伴って、2月の2.6兆円から、約8000億円黒字幅を拡大しました。

一見すると、これは円安とは逆に働きそうです。しかし、経常収支の大きな黒字項目は第一次所得収支(直接投資収益や証券投資収益など、対外債権・債務から生じる利子・配当金の収支)です。ここで稼いだドルは外国での投資に再投資されることが多く、日本に環流していません。

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