生成AI時代の人材「理系、文系」より大事なこと 技術だけでは新しいビジネスは生み出せない

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AI技術の進展はすさまじく、いまの段階の課題はいずれ解決されると思われます。

ただし、現時点でも、方法によってはさまざまな場面で十分活用できるものであるため、すでに高い利用価値があるといえます。

生成AIを活用することで、生産性や付加価値の向上、ビジネス機会の創出が大いに期待されています。これは、一見AIとは無縁と思われる場合も含めて、あらゆる業界、あらゆる企業の部門に当てはまると考えられます。

たとえば調査や分析、定型作業の効率が上がるため、特にホワイトカラーの大幅な生産性向上が見込めます。また、サービスや製品に生成AIを組み込むことで、新しい価値を創造できます。

もはや、生成AIは単なるIT化や部分的な業務効率化のツールにとどまらず、ビジネスのあらゆる分野において重要な役割を担っていくと確実にいえます。

生成AI導入で広がる企業間の格差

生成AIの特長として、利用のハードルが極めて低いことが挙げられます。一般人も簡単に利用できるので、生成AIを組み込んだ新サービス・製品の受容性は高く、それらが市場のスタンダードになる可能性も高いのです。

参考になるユースケースがいまだ少なく、情報漏えいや著作権問題などへの懸念が先行しているので、慎重な姿勢の企業も少なくありません。もっとも、そのような姿勢を打破できる人材がいない、目下の業務で手一杯、というのが現場の実態でしょう。

結果的に、攻めの姿勢と守りの姿勢の企業間の格差は拡大し、逆転のハードルが越えがたいものになってしまう可能性があります。

先行者は市場を支配し、利用者のデータをより早く、より多く収集できます。それを生成AIの学習に利用し、後発者よりも優れたサービスや製品を提供し続けられるので、圧倒的に有利な立場を維持できます。

そのため、先行者をまねるだけでは、逆転することは困難です。

加えて先行者は、生成AIを用いた業務効率化を進めることで、新規事業などにリソースを割けるようになるため、後発者はさらに遅れをとることになりかねません。

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