イライラを鎮めてメンタルを安定させる「食」養生 漢方では五臓六腑の「肝」を整えることを目指す

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今はこの怒が暴走して、肝の機能を低下させやすい季節です。普段から怒りっぽい人は、以下のような対処で気持ちを落ち着かせ、正常に戻すとよいでしょう。これらは『黄帝内経』に書かれている春の過ごし方です。

□ 怒ること、興奮することを避け、ゆったりした気持ちで過ごす
□ 精神的ストレス、身体的ストレスをうまくコントロールする
□ 我慢しない(気持ちを抑えつけすぎない)
□ きつい下着や服装を避ける
□ 睡眠を十分にとる

肝を元気にするには「酸味」が大事

先に挙げた対処法とともにやっておきたいのが、食生活の改善です。

肝の機能を高めるには、適度な酸味が必要です。酸味は気や血のバランスを整え、気が頭のほうに上りすぎるのを抑えてくれます。 酸にはまた、血液を浄化する、解毒するといった働きがあるので、肝がする仕事を軽減してくれます。

オレンジやみかんなどの柑橘類のほか、漢方では、パクチーや春菊、しそ、三つ葉、クレソンなどの香草類も酸の仲間に入るので、これらを適度に摂るとよいでしょう。

ただし、摂りすぎると胃に負担をかけたり、体を冷やしたりするので、要注意です。胃の調子が悪い人や月経中の方は控えめのほうがいいかもしれません。

このほか、セリやミント、新たまねぎ、みょうが、タケノコ、うど、ふき、新ごぼう、わらびなど、苦みのあるものもおすすめです。

東洋医学的に見て、メンタルを安定させるパクチー(写真:Nishihama/PIXTA)

一方で、控えたほうがいい飲食物は、脂の多い肉、甘いもの(砂糖)、乳製品、味の濃いものなど消化の負担になるものや、カフェイン(コーヒー、緑茶、紅茶、ウーロン茶、ドリンク剤)、アルコールです。

なかでもアルコールは、体にとっては解毒すべきものとして肝が処理しますから、肝の負担は大きくなります。

特に就寝前に飲むと、寝ている間に先にアルコールの解毒が優先されて、本来なら処理しなければならない疲労物質などの処理が後回しになるので、疲れたまま朝を迎えることになります。

平地 治美 薬剤師、鍼灸師。 和光鍼灸治療院・漢方薬局代表

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ひらぢ はるみ / Harumi Hiraji

東洋鍼灸専門学校非常勤講師、日本東洋医学会代議員。朝日カルチャーセンター、津田沼カルチャーセンターなどで漢方関連の講座を担当。明治薬科大学薬学部卒業後、漢方薬局勤務を経て、東洋鍼灸専門学校に入学。漢方治療の大家である寺師睦宗氏に漢方を、石原克己氏に鍼灸を、クリシュナU.K氏にアーユルヴェーダ医学を学ぶ。著書に『げきポカ』(ダイヤモンド社)、『舌を見る・動かす・食べるで健康になる』(日貿出版)など。You tube「平地治美・漢方チャンネル」も開設。ブログ「平地治美の漢方ブログ」。

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