イライラを鎮めてメンタルを安定させる「食」養生 漢方では五臓六腑の「肝」を整えることを目指す

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漢方でいう肝は、西洋医学でいう臓器の肝臓を含めた広い概念のことをいい、体に入った有害な物質を解毒する働きや、血(けつ:主に血液のこと)を貯めておく働き、さらには、気(生命エネルギー)や血を全身に巡らせる働きがあります。

そして、この肝に関係する五志は、怒です。怒が強かったり、長引いたりすると、肝に負担がかかり、先に挙げたような肝の働きが弱まってしまうのです。

「怒り」が頭や目にダメージを与える

怒は、人間の気持ちが激しくなったときの感情の変化です。

体や心を破壊的に働く有害な刺激で、まさに怒りで頭に気や血が上ってしまうと、頭や目などの重要な器官にダメージを与えてしまいます。この状態を漢方では「怒は肝を傷る(やぶる)」とか、「怒ればすなわち気上る」とかといいます。

怒には、単なる怒りだけでなく、ストレスによって生じる感情も含まれます。特に気を付けたいのは、身体的ストレスです。

ストレスというと精神的なものを思い浮かべる人が多いでしょうが、気候の変化や寒暖差といった体への負担も、大きなストレスです。今年は例年になく寒暖差が大きく、身体的な負担が大きいと感じている人、または不調として表れている人が増えているように思います。

実は、肝は精神的なストレスだけでなく、寒暖差(1日の中の寒暖差や、日々の寒暖差を含む)など環境による身体的ストレスの影響も受けやすいのです。寒暖差による体温調節は、予想以上に気を消耗させます。

肝が不安定になりやすい今の時期は、ストレスのコントロールに失敗しやすく、感情的になりやすい時期なので、注意が必要です。

肝の機能が低下すると、気や血の流れが滞ってしまうため、全身に影響が及び、消化器系の不調、疲労感、めまいや頭痛などの症状が表れます。

肝の機能低下による影響を以下に示しましたので、ご覧ください。

□ イライラする、キレる
□ 赤ら顔になる
□ 目が赤くなる
□ 血圧が上がる(脳卒中に至ることもある)
□ 頭痛、めまい
□ 胸から脇にかけての一帯が張る、痛む
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