元客室乗務員が明かす「カスハラ」困った客の実態 SNSで勝手に画像や動画公開、"理不尽な攻撃"も
先日、歌手の吉幾三さんが投稿したYouTube動画を機に、CAの過剰な接客内容が波紋を広げた。事の発端は、吉さんが昨年5月に投稿した動画だ。
偶然同じ飛行機に乗り合わせた国会議員が、CAに「非常に横柄」な態度をとっていたことに憤る内容だったのだが、この動画を見た匿名の現役CAから手紙が届いたとして、吉さんは今年3月、手紙の内容を紹介する動画を投稿した。
手紙には、問題の国会議員は自民党の長谷川岳参院議員ではないかいう指摘とともに、長谷川議員が搭乗する際は、「枕は2つ用意する」「到着が遅れる時は早めにお知らせする」など多岐にわたる注意点が指示される旨が記されていた。
このようなVIP客向けの特別対応は日常的に行われているのか、中川さんにたずねると、「ありますね」と即答した。
「有名人や重要な取引先企業の重役の方など、会社が大事にしたいお客様については、CAが持つ端末上で注意事項が共有されます。前回の搭乗時はこの飲み物を何杯も召し上がっていた、このサービスはお断りになった、といった申し送り事項を参考に、先輩たちはVIP対応にあたっていました」
中川さんは最後に、カスハラ客に思うことをぶっちゃけた。
「働いている側も人間なので、何を言っても優しく対応してくれるというのは勘違い。お金を払ってるから、こういうステータスの人間だから、とカスハラをするのは、ダサいからやめたほうがいいと思います」
1万円札の束を投げつけ…
新人時代の壮絶なカスハラ事例を明かしてくれたのは、国内の航空会社に18年の勤務経験がある吉岡美絵さん(仮名/50代)だ。
さかのぼること30年前。
「忘れもしません。羽田-沖縄便で上位クラスの席の接客をチーフと2人で担当したとき、空席のはずのシートに、金髪のパーマにデニムの上下、サングラス姿で真っ黒に日焼けした男性が座っていて。
チーフが『搭乗券を見せていただけますか?』と声をかけると、男性はポケットに入っていた1万円札の束を投げつけ、『金なら持ってる、馬鹿にすんな!』と怒鳴りはじめたんです」
男性はチーフの胸ぐらをつかんで壁に押しつけ、しまいには「怒らせたお詫びに、到着するまで隣に座って酌をしろ」と言い出したという。明らかに理不尽な迷惑行為だったが、チーフは要求を受け入れ、上位クラス22人の接客は吉岡さんが1人で担当することになった。