東大合格者語る「選んじゃダメな参考書」のNG要素 イラストや図解沢山の参考書には落とし穴が

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例えば英単語を勉強しようと本屋に行くと、英単語帳がずらっと並んでいることに驚かされることでしょう。

100冊を優に超える英単語帳が並んでおり、そのどれもがカラーで、要点がまとめてあって、素晴らしい参考書です。すべての参考書が昔よりも情報が整理されていて、使うだけで頭がよくなりそうです。

また、英単語のアプリや、英単語を覚えるためのオンライン授業も数多く存在しています。ボタン1つでその英単語の発音どころか、例文まで読み上げてくれるものもあります。

ですが、これだけ教材が充実しているにもかかわらず、昔よりも今のほうが成績が上がりやすくなっているわけではありません。

EFエデュケーション・ファーストという世界的な語学学校の調査によると、英語を母国語としない国・地域の「英語能力指数」ランキングで、日本は順位が下がり続けています。素晴らしい英語教材に囲まれているにもかかわらず、日本人の英語力は向上していないのです。

厳然たる事実として、「いい教材が増えているのに、成績が上がっていない」のです。さて、これは一体、なぜなのでしょうか?

わかりやすい参考書の盲点

結論から先にお話しすると、その理由は「要点がまとまった参考書を使うと、やった気になってしまうから」だと思います。

例えば情報が1ページにまとめて整理されていて、わかりやすい参考書があったとします。

多くの人は「やった! このページだけ覚えればいいんだ! 簡単だ!」と喜ぶことでしょう。

しかし、ここに落とし穴があります。要点がきれいにまとまっている参考書を使うと、重要なポイントがあまりにわかりやすく書かれているため、頭に残りづらいのです。

英単語でも、紙の英単語帳でじっくり時間をかけて意味や用法を調べたものと、ネットでパッと意味だけ調べたものとで比べると、前者のほうが記憶に残りやすいですよね。

それと同じで、要点がまとまっている参考書は、わかりやすいがゆえに自分で調べたり、考えたりする必要がなく、その分、忘れてしまいがちなのです。

要点がまとまっていないほうが、自分でノートなどに1から整理しなければならない分、時間をかけて理解することができ、頭に残りやすいのです。

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