「Google検索使いこなす子供」に潜む"大きな問題" 検索で出た答えは正しい?若者に必要な視点
「ChatGPTを使って宿題を解く生徒が多い」というニュースがネガティブな文脈で報じられることもありますが、「自分のできる範囲で工夫して問題に答えようとしている」とも解釈できるため、個人的な見解としては、それ自体は悪いことではないと思っています。
しかし、大きな問題だと思うのは「粘り強く考えること」が苦手になっている、という点です。
1つの問題に対して向き合う時間が少なく、あまり自分で考えずに答えを出した気になってしまう生徒の数が、大きく増えているのです。
私は、授業内での調べ学習において、Google検索もChatGPTも使用可としています。そうすると、多くの生徒が、調べて検索結果の一番上に出てきた最初の答えを書き写して(あるいはコピペして)、それで終わりにしてしまいます。聞かれている問いと少しずれていたとしても、「ネットにはこう書いてあった」という理由で、それを答えにしてしまうのです。
ネットで調べて不完全な答えを出す子どもたち
例えば「なぜSNSは流行したのか考えてこよう」という問いを出したとします。
これに対して、生徒がGoogleで調べると、「SNSの利用目的は、知人の近況を知るためと回答する人が多い」ということが書いてあります。生徒はこれをコピーアンドペーストして、「Q:なぜSNSは流行したのか? A:知人の近況を知りたいから」と答えてしまうのです。
言うまでもなく、この答えは不完全です。知人の近況を知りたいだけなのであれば、ほかの手段があるかもしれませんし、それ以外の理由だって考えられるはずです。
ここで書かれているのは「利用目的」であって、「なぜ流行したか」ではないですよね。聞かれていることと、少し違いますね。それなのに、「ネットで調べて、そう書いてあるから」という理由だけで、これを答えにしてしまう学生があまりにも多いのです。
なぜ、こういった「簡単な答え」に満足してしまう生徒が多いのでしょうか。
その理由の1つには、生徒たちの頭の中に「タイパ」という考えがあるからなのではないか、と考えています。
『ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち』(レジー著)という本がありますが、この本で指摘されているとおり、最近の若者はタイムパフォーマンスに対する意識が高く、早送りが当たり前の文化になっています。
タイパを考えて、最短距離で、最高効率で物事を終わらせることがいい、という価値観が広がっているのです。
今の中高生もこうした価値観に影響されており、「受験合格のためには、これらの参考書をこなすのが最短ルート」といった考えをもつ生徒も増えてきています。
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