飲むヨーグルトが「乳酸菌バブル」でジリ貧の理由 市場は逆転寸前、かつての人気を取り戻せるか

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では、飲むヨーグルトはどう反転攻勢を仕掛けるのか。メーカー各社は健康面の価値の訴求に力を入れる。

機能性表示食品や「医師の○%が奨める」などとうたう飲むヨーグルトを展開する。「食後の尿酸値の上昇を抑える」や「記憶の維持」、「注意力の維持」など目新しい機能をうたう商品も続々と登場している。乳酸菌飲料ではなかなか耳にしない機能も多く、飲むヨーグルトならではの価値を伝えるために差別化しているのだ。

また、これらの高付加価値商品は100~200グラム程度の小容量品で展開する。一般的な飲むヨーグルトより単価を高めに設定でき、容量も少ないため収益性を高められる。

明治は昨年10月、「明治プロビオヨーグルトR-1ドリンクタイプ The GOLD」を発売。同社が「強さひきだす」と表現する素材「R-1乳酸菌EPS」を従来品の2倍配合した商品だ。希望小売価格(税込み)は257円で従来品より約100円高いが、滑り出しは好調で、今年3月まで計画比10%増の売れ行きとなっている。

プロバイオ事業を担当する発酵マーケティング部の山本俊一氏は「サプリや栄養ドリンクなどを購入する層が新規で購入している。少し高くてもよいものを選ぶ人は多く、顧客獲得の余地がある」と分析する。

「健康疲れ」で、味を重視する消費者も

市場分析を重ね、味を重視する消費者の動きに着目したのは森永乳業だ。「コロナ禍の初期に健康意識が一気に向上した反動で、一部の消費者が『健康疲れ』をしているのではないか」(ヨーグルト・デザート事業マーケティング部マネージャーを務める田中泰徳氏)。

最近はデザート系の商品が人気だ。昨年9月に森永が投入した「マミーのむヨーグルト」の販売は好調で、今年4月にはピーチ風味を投入するなど、味を重視した提案を進めている。

「今後も乳酸菌飲料の勢いに押されたままとは考えていない。機能とおいしさの両軸に力を入れ、価値をしっかり伝えていく」(田中氏)。

「乳酸菌飲料バブル」の中で人気が揺らぐ飲むヨーグルト。改めて、健康面の価値と味の良さを消費者にアピールしていくことが、復権のカギとなりそうだ。

田口 遥 東洋経済 記者

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たぐち はるか / Haruka Taguchi

飲料・食品業界を担当。岩手県花巻市出身。上智大学外国語学部フランス語学科卒業、京都大学大学院教育学研究科修了。教育格差や社会保障に関心。映画とお酒が好き。

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