2012年に向け緊迫する米中関係、米中台で政権交代?!《田村耕太郎のマルチ・アングル・ビジョン》

ハーバード大学からアメリカ最古のシンクタンク、ランド研究所に移籍し、軍事、経済、科学技術等の各分野でアメリカの世界戦略を練る研究者と日夜議論できる刺激的な毎日を過ごしている。

最近この議論の刺激が増しているのは、来年2012年が大きな転換期であるからだ。12年はアメリカで大統領選挙、中国の政権交代、台湾の総統選挙がある。経済が低迷し、財政が傾き、世界の紛争地域からの米軍の撤退も進め、アメリカの経済・外交的地位は凋落の一途である。
 
 一方、堅調な経済・財政を背景に、世界中で影響力を増す中国。来年に向けて、いまや世界の二大国である米中の関係は、相当緊迫してくると思う。

米国発インフレを警戒する中国

前哨戦は始まっている。中国は早々と米国の来るべきQE3(量的緩和第3弾)に警告を発している。インフレを輸出することにより、財政の難局を乗り切ろうとするアメリカにジャブを出した。経済への先行き不安から、株価が大幅に下落しつつあるアメリカでは中央銀行による量的緩和に期待が高まる。アメリカが再びドルを乱発することにより、中国政府は“最も警戒すべきインフレ”を招きたくないのだ。

一方、財政政策を失い金融政策の効果も限定的になってきたアメリカは、これから外需を狙うしかない。自由貿易推進で、世界に圧力をかけてくるだろう。
 
 オバマ政権を離れ、ハーバード大学に戻ってきたラリー・サマーズ元米財務長官は「財政や金融政策を打ち尽くしたアメリカはこれから貿易、すなわち輸出で稼ぐべきだ」と私の目の前で言い切った。
 
 そしてサマーズ氏は、「自由貿易を推進することにより、相手国の経済改革を後押しすることもできるからね」と意味深長な発言もしてくれた。

これから中国人民元の為替管理やリバランス(輸出主導型から内需推進型経済への移行)に、アメリカがさらに圧力をかけていくことは間違いないと思う。特に人民元に関しては、大幅な引き上げを望む声が高まるのでないか。

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